頚動脈解離

頚動脈解離について

頚動脈解離（けいどうみゃくかいり）は、脳に血液を供給する頚動脈の内層が破れる事態を指します。これにより、さまざまな神経症状が現れることがあり、特に片側の首や顔、頭の痛みが典型的な症状とされています。また、脳卒中の一環として片目の失明や味覚の異常、複視といった症状が出ることもあります。加えて、縮瞳や眼瞼下垂を伴うホルネル症候群が発生することもあります。

この病気は、様々な要因によって引き起こされる可能性があり、交通事故やカイロプラクティックの施術後に見られることもありますが、必ずしも外的要因があるわけではなく、自然発症するケースも存在します。特に、エーラス・ダンロス症候群などの結合組織障害や家族歴がある場合は、リスクが高まるとされています。解離が起こると、血液が動脈壁に侵入し、これによって血栓が形成されることが一般的です。その結果、動脈壁が厚くなり、血流が妨げられることが多くなります。

この疾患の診断には医用画像が用いられ、CTスキャンが一般的に使用されます。治療法としては、アスピリン、ヘパリン、ワルファリンなどの抗凝固療法が選択されることがあります。特に重症度によっては、血管ステントを留置するおそれもありますが、治療後の結果は個々の症例によって異なります。頭蓋骨内に達する解離や両側性の症例では、患者の状態が悪化することが多いため注意が必要です。

頚動脈解離そのものは比較的まれな疾患であり、年間10万人あたり約1.8人が影響を受けるとされています。特に20代から40代の若年層に多く見られ、若者の脳卒中の約20%はこの疾患に起因しているとされています。また、頚動脈解離は椎骨動脈解離（首の後方を供給する小さな動脈の解離）よりも頻繁に発生します。この疾患の状態は、1954年に医師のジェンツァーによって初めて報告され、その後の研究により理解が深まっています。

このように、頚動脈解離は症状や合併症が多岐にわたり、発生の原因や診断、治療方法も多様です。患者にとっては、適切な医療を受けることが重要であり、異常を感じた場合は速やかに医療機関を受診することが勧められます。

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