複視

複視：物が二重に見える視覚障害

複視とは、対象物が二重に見えるという視覚異常です。健康な状態では、両眼で見た物体が一つに統合されて認識されますが、複視ではこの統合がうまくいかず、物が二重に見える状態を指します。この症状は、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。

複視の種類と症状

複視には大きく分けて、両眼複視と単眼複視の2種類があります。

両眼複視（双眼複視）： 両目で見たときに物が二重に見え、片方の目を閉じると二重に見える現象が消失するタイプです。最も一般的な複視です。
単眼複視（片眼複視）： 片目だけを閉じても物が二重に見えるタイプです。原因は、網膜や視神経、脳など、眼球以外の部分にあることが考えられます。

症状の出現パターンも様々です。一日中ずっと症状が出現する場合もあれば、疲労によって症状が現れ、休息によって軽減または消失する場合（日内変動・月内変動）もあります。

物が二重に見えるだけでなく、遠近感や深さの見極めが困難になります。そのため、階段の上り下りや段差のある場所での歩行など、日常生活での危険性が高まります。転倒事故につながる可能性も高く、注意が必要です。

複視の原因

複視の原因は多岐に渡り、眼球運動を司る神経や筋肉、あるいは脳や全身の疾患が関係している場合があります。主な原因としては、以下のようなものがあげられます。

眼球運動を支配する神経の異常： 神経の麻痺や頭部外傷などが原因で起こります。
眼球運動を支配する筋肉の異常： 例えば、重症筋無力症などが原因で眼筋の機能に異常が生じることがあります。
循環器系の疾患： 糖尿病、高血圧、動脈硬化などが原因で、眼球への血流に異常が生じることがあります。
脳疾患： 脳腫瘍、脳動脈瘤、小児脳幹部グリオーマなど、脳の疾患が原因で起こることもあります。
外傷： 眼の周囲の骨折など、外傷によって眼球運動に異常が生じる場合があります。
その他： 虹彩離断なども原因の一つとして挙げられます。

複視の治療

複視の治療は、まず原因となる疾患や外傷を特定することが重要です。原因が特定できれば、それに応じた治療が行われます。原因疾患に対する治療を行うことで、複視の症状が改善する場合が多いです。例えば、脳腫瘍であれば外科手術や放射線治療、糖尿病であれば血糖コントロールなどが行われます。原因によっては、プリズム眼鏡などの視覚補助具を使用することもあります。

関連項目

斜視
小児脳幹部グリオーマ

注意： 複視は様々な原因で起こる可能性があるため、自己判断での治療は避け、眼科医を受診することが大切です。早期発見と適切な治療により、症状の悪化を防ぎ、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。

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