顔見世

顔見世（かおみせ）の概要

顔見世は、歌舞伎において毎年行われる特別な興行で、役者の交代後に新顔を観客に披露する大切なイベントです。江戸時代から続くこの伝統行事は、役者の雇用契約が1年単位であることから生まれました。興行は11月から翌年の10月までの期間で行われ、新しい役者たちがその初舞台を飾ります。

歴史的背景

顔見世の起源は不明ですが、上方では村山又兵衛が始め、初代嵐三右衛門が興行のルールを確立しました。また、江戸においては中村勘三郎が万治年間に季節ごとの演目を選ぶことにしました。万治や寛文の頃には京都、江戸、大坂で顔見世が確立されたとされます。その後約200年間にわたり、この形式が踏襲されてきました。

ただし、正月に顔見世が行われることもあり、嘉永2年には四代目中村歌右衛門が市村座の救済のために役者の交代時期を翌春に延ばすなどの工夫もありました。徐々に集客が難しくなった影響で、大坂では独自の「てうち」という式が登場し、顔見世の趣向が失われていった時代もありました。

顔見世の伝統的な流れ

毎年、江戸では三座の幹部が集まり、夏に翌年の役者を決定します。この約束事は「世界定め」と呼ばれ、神妙な儀式として捉えられています。9月12日に行われるこの儀式では、主作者や太夫元の自宅で顔見世の狂言を決定し、10月17日には新しい座組の役者たちが初めて顔を合わせます。この段階で、役者全員が集まり、酒宴を交えた祝賀の儀式を行います。

11月1日からは吉例顔見世興行が始まり、主な関係者は裃姿で訪問し、互いに祝福を交わします。その様子は正月に似た賑やかさを持っています。演目は新作が必須であり、一定の様式が順守されます。顔見世狂言は一番目と二番目に分けられ、それぞれに時代や世話に関連する演目が用意され、観客が楽しむことができるよう工夫されています。

作品と演目

顔見世では、「戻り駕」や「道成寺」などの著名な作品が上演されることが多く、これらの演目はその質の高さからも注目されています。この興行は一般に約10日間行われ、その後に「二の替り狂言」が設定され、さらなる楽しみが用意されています。

また、顔見世では特別な番付も作成され、役者や座元、主作者がそれぞれ位置に配置されます。これに関しては多くの議論が交わされることもあるため、主作者と座元は細心の注意を払います。

結論

顔見世は歌舞伎の伝統文化の一環として強い意義を持つ行事であり、役者たちの初舞台を祝う枠組みとして、観客にとって特別な意味を持っています。特に京都南座での公演は長い歴史を有し、ここでの「まねき」が年末の風物詩として愛されていることが特筆されるでしょう。

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