顕宗 (高麗王)

高麗第8代国王 顕宗（けんそう）

顕宗（992年8月1日 - 1031年6月17日）は、高麗の第8代国王（在位：1009年 - 1031年）であり、激動の時代を生き抜きました。彼の生涯は、即位前の苦難、契丹（遼）の侵入からの防衛、そしてその後の国家再建に彩られています。

生い立ちと即位

顕宗は太祖の孫として生まれましたが、両親の不倫という複雑な事情から、幼少期は不遇でした。母は彼を産んだ後に亡くなり、父は流刑に処されたため、成宗（顕宗の母の兄）によって養育されました。成宗の死後、穆宗が即位しますが、穆宗には男子がいなかったため、顕宗は後継者として指名されます。1003年には大良院君に封じられますが、穆宗の母である千秋太后は、自身の産んだ子を王位に就けようと画策し、1006年に顕宗を寺に追放、さらに暗殺を試みます。

しかし、1009年、康兆（こうちょう）が政変を起こし、穆宗を退位させ、金致陽一派を粛清。大臣たちの推戴を受け、顕宗が18歳で王位に就きました。このように、顕宗の即位は、数々の陰謀と権力闘争を乗り越えたものでした。

契丹の侵入と防衛

顕宗の治世は、契丹（遼）の侵入という国家存亡の危機に直面します。契丹は、顕宗の即位の際の政変を理由に侵攻を開始しますが、その真の目的は、高麗と宋との関係を断絶させ、かつて高麗に割譲した江東6州を取り戻すことにありました。一度目の侵入では、首都開京（現在の開城）が陥落する事態となります。しかし、高麗は契丹の入朝要求を受け入れつつも、契丹軍の退却時に攻撃を仕掛け、その後は入朝を拒否しました。

1018年、契丹は再び10万の大軍を率いて侵攻します。高麗が江東6州を返還せず、宋と結んで契丹に入朝しないことがその理由でした。高麗は姜邯賛（きょうかんさん）を司令官に20万の兵力を動員し、契丹軍を迎え撃ちます。1019年2月、興化鎮で契丹軍を撃退しますが、一部の契丹軍が開京に向けて進撃。しかし、契丹軍は高麗軍の包囲を恐れ退却を決意。亀州（きしゅう）に到達した際、高麗軍は総攻撃を仕掛け、姜邯賛は見事契丹軍を殲滅しました。この戦いは「亀州大捷」として知られ、高麗の歴史における重要な勝利となりました。

その後

亀州大捷後、高麗と契丹の間で国交が回復し、貿易も再開されました。しかし、高麗は契丹が1125年に滅亡するまで入朝することはなく、江東6州の返還にも応じませんでした。顕宗の外交手腕がうかがえます。

家族構成

顕宗は多くの王妃と子供に恵まれました。

王妃: 元貞王后金氏、元和王后崔氏、元成王后金氏、元恵王后金氏、元容王后柳氏、元穆王后徐氏、元平王后金氏、元順淑妃金氏、敬成王后、元質貴妃王氏、貴妃庾氏
公主: 孝静公主、景粛公主
* 王子: 徳宗、靖宗、文宗、平壌公 王基、検校太師 王忠

このように、顕宗は政治的な手腕だけでなく、家庭においても多くの血縁に囲まれていました。

顕宗の治世は、外敵の侵入を防ぎ、国家の安定を図った重要な時期であり、その功績は高麗の歴史に深く刻まれています。

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