開京

高麗の古都、開京（ケギョン）

開京は、10世紀から14世紀にかけて朝鮮半島に存在した高麗王朝（918年 - 1392年）の首都であり、現在の朝鮮民主主義人民共和国の開城市にあたります。高麗の創始者である王建（ワンゴン、高麗太祖）の祖先が代々統治していた地であり、高麗にとって特別な場所でした。

風水思想に基づく都市計画

『高麗史』によると、王建の祖先は風水の観点から朝鮮半島の統一を成し遂げる者が現れる地として開京を選びました。そのため、都市の景観や施設は風水思想に基づいて開発が進められたとされています。王建の父である竜建（ヨンゴン）は、新羅時代に築かれた松岳城を基に、宮城となる勃禦塹城（パルオチョムソン）を築き、898年から905年までの7年間、都城として機能しました。

その後、都は鉄原（チョルウォン）に移されましたが、918年にクーデターを起こして高麗を建国した王建は、翌919年に自身の故郷である開京に都を遷しました。遷都後、わずか2ヶ月の間に10もの仏教寺院が建立され、その後も開京周辺には25の寺が建設されました。高麗はその正統性を風水思想に求めたため、開京周辺の地名や施設は全て風水に基づいて命名、配置されました。これらの寺院は、祖霊や功臣を供養するとともに、風水を象徴する装置としての役割も担っていました。

中国の都城様式との違い

風水都市である開京は、唐の長安のように前朝後市や、宗廟を中心とした格子状の街路といった中国王朝流の都城様式を必ずしも踏襲しませんでした。その理由としては、前王の暴政を正すという名目で減税や賦役免除といった民衆への配慮を行ったこと、そして開京が海沿いに位置し、山に囲まれた地形であったことが挙げられます。地形的な制約と政治的な配慮が、開京独特の都市構造を生み出したと言えるでしょう。

国際貿易港としての発展

開京は、皇都（ファンド）、松嶽（ソンアク）、松都（ソンド）など、様々な名前で呼ばれていました。開京の北西に位置する碧瀾渡（ピョクランド）は、船舶の運行が自由な国際港として発展しました。高麗時代には貿易が盛んに行われ、宋、日本、アラビアなどから多くの商人が訪れ、多様な文化が交流する場所となりました。

開京は、高麗王朝の政治・文化・経済の中心地として、重要な役割を果たしました。その歴史的、文化的な価値は、現代においても高く評価されています。

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