類聚国史

類聚国史（るいじゅこくし）

類聚国史は、日本の歴史書であり、中国の類書に倣い、編年体の形で情報を分類・再編集した作品です。この書は、宇多天皇の命を受けた菅原道真によって、892年（寛平4年）に成立しました。ただし、『日本三代実録』の部分には後世の加筆が見られるため、編纂時の真正性に疑問が残ることもあります。

編纂の背景と目的

菅原道真は、この歴史書を通じて政治的な運用に役立てることを目的としていました。仁和寺の書籍目録によれば、もともとは200巻の本文、2巻の目録、3巻の系図を含む合計205巻の大作でした。しかし、応仁の乱以降、この書の多くが失われてしまい、現在確認されているのは61巻のみです。この散逸は、歴史的資料の維持が難しい時代背景を物語っています。

現存する内容

現存している部分は、神祇、帝王、後宮、様々な人々、歳時、音楽、賞宴、奉献、政理、刑法、職官、文、田地、祥瑞、災異、仏道、風俗、殊俗の18のカテゴリーに分けられています。特に評価される点は、情報を簡単に検索できるようにし、先例を調べる手助けをしていることです。また、原文主義を徹底しており、不必要な改変を行わない姿勢が一貫しています。

例えば、神祇部の初巻と第2巻では『日本書紀』の内容がそのまま転載されています。さらに、『日本後紀』の多くが失われた現在において、類聚国史は貴重な復元資料ともなっています。このような文学的価値は、後の歴史書や研究に多大な影響を与えています。

類書の伝統

類聚国史は、中国の唐代における古典の抜粋や分類の手法を踏襲しています。当時の中国では、詩文の作成や知識の整理のために、古典の中から重要な箇所を抽出して分類する作業がさかんに行われていました。このようなアプローチは、類書と称され、類聚国史もその一環として位置づけられることができます。

結論

類聚国史は、その独自の編纂方法や情報整理の手法から、日本における類書の一つとして特筆すべき存在です。数多くの歴史的事項が網羅されており、その正確性や資料的価値は、古代日本の歴史を知る上で欠かせないものと言えるでしょう。本書によって、私たちは先人たちの知識や経験を再び呼び起こし、歴史に対する理解を深めることができるのです。

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