風にきえないで

L'Arc〜en〜Ciel 4th Single 「風にきえないで」



概要


「風にきえないで」は、L'Arc〜en〜Cielが1996年7月8日にリリースした4枚目のシングルである。前作「夏の憂鬱 [time to say good-bye]」から約10ヶ月ぶりのリリースとなった。

このシングルは、バンドの音楽制作における新たな転換点となった作品として知られている。表題曲「風にきえないで」は、メンバーが持ち寄ったデモ曲の中からtetsuyaの楽曲が選ばれ、制作された。この曲は、従来のバンドの制作方法とは異なり、tetsuyaがメロディーラインも手がけた初のシングル表題曲となった。この楽曲制作の変化は、後のアルバム『True』以降の作品にも影響を与え、バンドの作曲スタイルを確立するきっかけとなった。

カップリング曲には「I'm so happy」が収録されており、この曲もファンからの人気が高い。ライブでの演奏回数は少ないものの、特別な楽曲として位置づけられている。楽曲のポジティブな歌詞は、作詞を担当したhydeの心境の変化を反映している。

楽曲解説


風にきえないで


疾走感のあるメロディアスなロックナンバーである。作曲はtetsuyaが担当。彼は「幸せだけど少し卑屈になっているイメージ」で制作したと語っている。また、曲の原型はバレンタインの夜に突然浮かんだメロディーから生まれたという。この曲では、tetsuyaが初めて歌メロも制作しており、バンドの制作スタイルに大きな変化をもたらした。ギターアレンジは、kenが多重録音を駆使し、印象的なアンサンブルを作り上げている。佐久間正英をプロデューサーに迎え、バンドのヴィジョンを尊重したアレンジが施された。歌詞は、hydeが「自分の想いを守るために他のことを犠牲にしようとする自分」と「それを拒もうとする自分」という二面性を表現している。

I'm so happy


ポップなメロディと憂いを帯びたサウンドが特徴的な楽曲。ブリットポップの影響を感じさせる。作詞・作曲はhydeが担当し、実家に帰省した際にインスピレーションを得て制作された。デモ音源がレディオヘッドの楽曲に似ていたことから、仮タイトルを「らぢおへっど」としていた。kenはサイケデリックなギタープレイを試み、この曲に新しい彩りを加えた。歌詞は、一見するとダークだが、その裏には前向きなメッセージが込められている。hyde自身も「今まで書いた詩の中で一番前向きな気持ちの詩」と語っている。sakuraはこの曲を非常に気に入っており、インタビューで「この曲のすべてが好き」とコメントしている。また、アコースティックバージョンも存在し、ライブやテレビ番組で披露された。

リリース


本作は、通常盤(CD)1形態でリリースされた。当初は8cmシングルとして発売されたが、2006年に12cmシングルとして再発された。

チャート


オリコン週間シングルチャートで4位を記録し、初のTOP10入りを果たした。このシングル以降、L'Arc〜en〜Cielはオリコン週間シングルチャート連続TOP10入りを継続している。

ミュージックビデオ


「風にきえないで」のミュージックビデオは、栗田裕介が監督を務めた。映像は、部屋の中で楽器を演奏するメンバーと、開放的な外の世界で演奏するメンバーの対比が描かれている。hydeが眼鏡をかけている姿も珍しい。このミュージックビデオは、ベストアルバムの初回限定盤DVDやクリップ集に収録されている。また、公式YouTubeチャンネルでも公開されている。

タイアップ


表題曲「風にきえないで」は、フジテレビ系番組『猛烈アジア太郎』、日本テレビ系番組『ミュージックパーク』のエンディングテーマとして使用された。

参加ミュージシャン


hyde: Vocal
ken: Guitars
tetsu: Bass
sakura: Drums
tetsu: Falsetto Chorus (風にきえないで)
佐久間正英: Other Instruments (風にきえないで、I'm so happy)

収録曲


1. 風にきえないで
2. I'm so happy

収録アルバム


オリジナルアルバム:『True』 (#1、アルバムバージョン)
ベストアルバム:『The Best of L'Arc〜en〜Ciel 1994-1998』 (#1),『The Best of L'Arc〜en〜Ciel c/w』 (#2), 『QUADRINITY 〜MEMBER'S BEST SELECTIONS〜』 (#2), 『TWENITY 1991-1996』 (#2)



参考文献


WHAT's IN?』、ソニー・マガジンズ、1996年7月号
『uv vol.8』、ソニー・マガジンズ、1996年
『PATi PATi』、ソニー・マガジンズ、1997年1月号
『ロッキンf』、立東社、1997年1月号
『uv vol.13』、ソニー・マガジンズ、1997年
『Gb』、ソニー・マガジンズ、1997年2月号
* 『L'Arc〜en〜Ciel Box Set of The 15th anniversary in formation CHRONICLE of TEXT 01』、ソニー・マガジンズ、2006年

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