風炉先屏風

風炉先屏風（ふろさきびょうぶ）は、茶道において重要な役割を果たす道具の一つです。主に広間での点前の際に、道具畳の向こう側に置かれる二つ折りの屏風を指します。この屏風を設置する主な目的は、点前に使用する茶道具の美しさを際立たせ、その存在感を高めることにあります。風炉先屏風があることで、空間に奥行きが生まれ、道具がより一層引き立つ効果が期待できます。単に「風炉先」と略して呼ばれることもあります。

風炉先屏風の基本形とされるのは、高さが2尺4寸（約72.7cm）、片幅が3尺5分（約92.4cm）で、五分角の鳥の子白張りに蝋色縁が施されたものです。この形状は「利休形」と呼ばれ、茶道における一つの基準となっています。しかし、実際には様々な素材や意匠が用いられ、多種多様な風炉先屏風が存在します。例えば、素材には紙だけでなく、布や木材が用いられることもあり、デザインも古典的なものから現代的なものまで幅広く見られます。また、縁の仕上げにも様々なバリエーションがあり、漆塗りのものや、竹を用いたものなどがあります。

風炉先屏風の幅に関しては、特に注意が必要です。利休形の寸法は京間の畳に合わせて作られており、中京間や江戸間の畳を使用する場合には、その幅に合わせて調整する必要があります。これは、風炉先屏風が空間全体のバランスを左右する要素であるため、畳の大きさに合わせた適切な寸法を選ぶことが重要だからです。このように、風炉先屏風は単なる装飾品ではなく、茶室の空間構成に深く関わる道具であり、茶道の美意識を体現する重要な要素の一つと言えるでしょう。

風炉先屏風の選び方や扱い方には、茶道における深い知識と経験が求められます。その歴史や背景を理解することで、より一層茶道の奥深さを感じることができるでしょう。

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