飛山城

飛山城の概要

飛山城（とびやまじょう）は、栃木県宇都宮市竹下町に存在した中世の城で、13世紀末から16世紀にかけて栄えました。この城は、宇都宮氏の家臣、芳賀氏の居城として築かれ、歴史的な価値から国の史跡に指定されています。

歴史的背景

飛山城は、鎌倉時代後期の永仁年間（1293-1298）に、宇都宮景綱の家臣である芳賀高俊によって築かれたと伝わっています。芳賀氏は益子氏とともに、「紀清両党」として知られる有力な武士団の一つでした。城の名前は清原氏との関連があり、この氏族が名乗った清原姓が現代の宇都宮市東部の地名「清原」に影響を与えたと考えられています。しかし、その詳細については不明確です。

時代が進むにつれ、城は南北朝時代の戦乱に巻き込まれ、最終的に南朝に攻撃されて落城しました。戦国時代に入ると芳賀氏は関東の権力争いに巻き込まれ、弘治3年（1557）には宇都宮城奪回の拠点として機能しました。そして、天正18年（1590）に豊臣秀吉が関東を制圧し、宇都宮城へ入城した際、城を破却する命令が下され、飛山城も廃城となりました。

城郭の構造

飛山城は、鬼怒川の東岸に築かれた平山城で、全面積は東西240メートル、南北420メートルの長方形です。現存する遺構は約14ヘクタールに及び、北側と西側は鬼怒川の急崖（比高差25メートル）によって守られています。東側と南側は二重の土塁と空堀が配置され、堅牢な防御を形成しています。また、内側の空堀は幅15メートル、深さ4メートルもあり、大規模な構造を維持しています。

城は主郭を中心に7つの曲輪（くるわ）で構成され、主郭は空堀で他の曲輪と分けられています。各曲輪は土塁と堀に囲まれており、最北にあたる曲輪には城主の居館が置かれていたと考えられています。

発掘調査と国の史跡指定

1977年、飛山城の城跡は国の史跡に指定され、その後整備が進められました。発掘調査により、堀幅が15メートルから17メートルであり、城が東側と南側で深さ8メートルの二重堀に守られていたことが判明しました。七つの曲輪では、掘立柱建物跡や中世の竪穴建物、門跡などが発見され、また常滑焼や瀬戸焼の陶磁器、小札や轡といった遺物も出土しています。

さらに、城郭の遺構よりも下層から平安時代の遺構が発見され、建物跡や「烽家」と刻まれた墨書土器が出土しました。こうした発見により、当時の防災施設の存在が明らかになりました。

飛山城史跡公園

2000年から宇都宮市による史跡公園の整備が進められ、2005年に「飛山城史跡公園」としてリニューアルオープンしました。公園内では土塁や空堀、兵士の詰所を再現した建物が設置されており、隣接する「とびやま歴史体験館」では、芳賀氏関連の資料が展示されています。加えて、戦国時代の衣装着用や古代の遊び体験などができる施設も用意されています。

アクセス

公園へのアクセスは、宇都宮駅東口から宇都宮芳賀ライトレール線を利用し、飛山城跡停留場で下車後、徒歩約15分です。飛山城は歴史の深い名所であり、観光地としても訪れる価値があります。

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