飛島公共交通バス

愛知県海部郡飛島村を運行する路線バス、「飛島公共交通バス」は、通称「飛島バス」として知られています。飛島村地域公共交通活性化再生法定協議会が主体となり、運行は三重交通桑名営業所に委託されています。このバスは、村の住民や企業に勤める方々の日常的な移動を支え、利便性が高く持続可能な公共交通サービスを提供することを目指して、2009年4月1日に運行を開始しました。本記事では、現在の飛島公共交通バスに加え、その前身にあたる2009年3月31日まで運行されていた旧「飛島バス」についても解説します。

歴史

飛島村におけるバス運行の歴史は、1999年4月1日にナゴヤシップサービスが運行を受託して始まった旧「飛島バス」から始まります。これは主に臨海部の企業通勤者向けのバスでした。その後、いくつかの変遷を経て、現在の体制に至っています。

1999年4月1日：旧「飛島バス」運行開始
2007年4月2日：実証実験バス運行開始
2009年3月31日：旧「飛島バス」および実証実験バスの運行終了
2009年4月1日：「飛島公共交通バス」運行開始（三重交通委託）。飛島コミュニティバスも運行開始
2010年10月1日：弥富市内に停留所を新設し、きんちゃんバスとの接続を開始
2015年：飛島コミュニティバス廃止
2021年4月1日：主要な交通系ICカードが利用可能に

現在の路線

飛島公共交通バスは、利用目的や経由地が異なる以下の2つの路線を運行しています。

名港線
ルート： 飛島村臨海部と名古屋港エリアを結びます。伊勢湾岸自動車道を経由するのが特徴です。
主な利用者： 主に名古屋市内から臨海部の工場などへの通勤者が利用します。
運行形態： ほぼ名古屋港駅始発の循環便ですが、朝夕に区間便があります。平日の循環便は、村内の経路が便によって変わる場合があります。
車両： 高速道路走行に対応した、座席利用前提の観光バスタイプの車両（日野セレガ、いすゞガーラ）が使用されます。立って乗ることはできません。
その他： 名古屋市内のみの利用も可能で、クローズドドアシステムはありません。

蟹江線
ルート： 飛島村と近鉄蟹江駅を、蟹江町を経由して結びます。
主な利用者： 飛島村民の主要な移動手段として利用されており、運行本数も多く設定されています。
運行形態： 基本は近鉄蟹江駅前と公民館分館を結びますが、朝夕や平日の一部便は異なる発着地となります。平日ダイヤには臨海部を経由する便もあり、朝の近鉄蟹江駅前発の一部便は公民館分館まで急行運転を行います。土休日や平日日中は、蟹江駅前と臨海部を直通するバスはなく、公民館分館での乗り換えが必要です。
連携： 弥富市内の停留所を経由し、弥富市コミュニティバス「きんちゃんバス」への乗り換えが可能です。
その他： 2020年10月のダイヤ改正で、平日日中の運行本数が増便されました。

運賃・決済

運賃体系は名港線と蟹江線で異なります。名港線では、名古屋市内のみの利用でも一律500円の運賃がかかります。両路線ともに、飛島村臨海部内での相互利用を除く区間の定期券や回数券が販売されています。2021年4月1日からは、TOICA、manaca、PiTaPaといった全国相互利用対応の交通系ICカードが利用できるようになりました（emicaも利用可ですが、乗継割引はありません）。

使用車両

運行には、原則として「飛島バス」と書かれた専用デザインの車両が用いられます。

名港線： 高速バス仕様の日野セレガ、いすゞガーラ（観光型車両）
蟹江線： 地域内運行に適した中型バス、いすゞエルガミオ
所属： いずれも三重交通桑名営業所に所属しています。

かつて運行されていた旧「飛島バス」では、主に三菱ふそうエアロスターが使用されていました。これらの車両の一部は、旧バスの運行終了後に他のバス会社へ移籍しています。

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