飛行場大隊

飛行場大隊について

飛行場大隊（ひこうじょうだいたい）は、日本陸軍において航空機の整備や補給、さらに飛行場の警備を行うための後方支援部隊の一つです。この部隊は、航空部隊のスムーズな運用を支える重要な役割を果たしていました。

沿革

1930年代後半、日本陸軍はソ連を仮想敵国として満州での戦闘を想定し、航空兵力の不足が大きな問題となりました。この背景のもと、1937年に航空部隊の地上部門を独立した部隊として編成する「空地分離方式」が採用されることが決定しました。この戦略は、事前に支援部隊を各地に展開し、必要に応じて機動的に運用することにより、戦力の劣位を改善しようとするものでした。

飛行場大隊はこの空地分離方式に従い、地上部門として編成され、中間整備を主な業務として位置づけられました。具体的には、飛行戦隊直属の整備班による日常的な整備よりも一歩進んだ整備を行い、また野戦航空廠が担当する後方整備とも異なる、比較的簡易な範囲の整備が求められました。

加えて、飛行場の警備任務もこの大隊の重要な役割でした。1938年末までには合計19個大隊が編成され、その中でも満州や中国戦線に配備された部隊は、形式的に飛行戦隊から独立した存在となり、地上部門を統括する航空地区司令部の指揮下に置かれました。ただし、日本本土の部隊は防空任務が主であったため、飛行戦隊に編成されたままとなりました。

1941年、太平洋戦争が始まるころには、飛行場大隊は41個に増加しました。その後も、戦時の航空戦の激化に伴い、部隊の増強が進み、1943年末には55個、1944年初頭には140個の大隊に達しました。しかし、整備要員の育成は追いつかず、大隊間の特定戦隊との提携運用が困難になったため、1943年9月には整備機能が廃止され、飛行戦隊の整備班へと統合されました。これ以降、飛行場大隊の任務は燃料や弾薬の補給、空中勤務者の休養、そして飛行場の警備に限定されることとなりました。

編制

初めの計画では、飛行場大隊は650名規模で、大隊本部の下に整備中隊2つと警備中隊を配置するものでした。整備中隊は提携する飛行戦隊を支援し、もう一つの中隊は他の航空部隊への協力を行うことが予定されていました。しかし、実際には1つの整備中隊のみを持つことが一般的でした。

警備中隊は、初期には軽装備であったため、装備の強化が行われ、最終的には20mm高射機関砲などの対空装備も整備されました。1943年9月以降は整備中隊が補給中隊に変更されたことで、飛行場大隊の役割が明確に分担されることとなった。

飛行場中隊

飛行場中隊は、飛行場大隊と同様の任務を持つ小規模な部隊として編成され、戦況に応じた予備兵力として機能しました。この中隊は、独立した飛行中隊の支援を主な目的とし、編制は飛行場大隊の約1/3の規模でした。1941年には17個中隊が存在し、1944年の初めには73個中隊にまで増加しました。

まとめると、飛行場大隊は日本陸軍の航空作戦を支えるために不可欠な存在であり、多くの戦略的役割を担っていました。

もう一度検索