飛行場設定隊

飛行場設定隊について

飛行場設定隊（ひこうじょうせっていたい）は、大日本帝国陸軍における部隊編制の一形態であり、主に戦時における飛行場の建設や修復工事を専門に行う部署でした。この部隊は特に太平洋戦争中に多く編成されましたが、工業力の不足から、実際の作業では限られた成果しか上げられないという課題を抱えていました。

沿革

太平洋戦争初期まで

太平洋戦争が始まる前、日本陸軍は飛行場建設部隊の重要性をあまり認識していませんでした。飛行場の整備は陸軍省経理局が管轄し、前線では各師団の経理部が現地の労働者を雇って工事を行う方式が取られていました。戦争の際に特別な部隊を動員する考えはあったものの、その規模は小さく、人力に依存していました。この背景には、ソビエト連邦を仮想敵として定めた日本陸軍の考え方があり、それにより飛行場建設が特に難しい作業とは考えられていなかったからとされています。

1941年（昭和16年）、日中戦争の拡大に伴い、飛行場設定隊が初めて動員されました。陸軍航空本部が『飛行場設備教育規定』というマニュアルを制作し、これに基づいて人力隊が活動を開始しました。

機械化設定隊の編成

1942年8月以降、ソロモン諸島における激しい戦闘の影響で、飛行場の迅速な整備が求められるようになり、飛行場設定隊も急速に拡大が進みました。東條英機首相の指示により、「アメリカ軍が1週間で飛行場を整備するなら、我々は3日で行うべきだ」との意気込みが語られ、その結果、機械化に向けた研究が進められました。結果として、軍官民協力のもとで初の機械化された飛行場設定隊が編成されました。

その後、1943年には、陸軍飛行場設定練習部が設立され、専門技術の育成が図られました。また、航空総監部による新たなマニュアルも配布され、飛行場設定技術の体系化が進められました。

編制

飛行場設定隊は、甲、乙、丙の3つの基本編制から構成されていました。甲編制は機械化部隊で約700人の人員を有し、高度な作業能力が求められました。乙編制は半機械化部隊で、150人前後の技術者が中心で現地部隊との協力が必要でした。丙編制は人力部隊で定数も少なく、現地の労働力に頼る形となっていました。

例えば、1944年に動員された第125野戦飛行場設定隊では、175人からなる部隊が組織され、現地人を大量に雇う計画が立てられ、医療サービスも提供されることになっていました。

実戦と評価

飛行場設定隊の最初の頃は、人力主体の小規模な編制だったため、高い能力は期待できませんでした。機械化が進められたものの、機械の性能不足や信頼性の低さから、十分な成果を上げることができませんでした。実際、ラバウルでの飛行場増設に投入された第11野戦飛行場設定隊は、他の部隊と協力する方が効果的であると評価されました。

このように、飛行場設定隊は戦局の厳しい中で多くの困難に直面し、十分な成果を上げることができなかったのが実情です。結局のところ、さまざまな要因が重なり、期待されたほどの活動を行えませんでした。

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