飛騨民俗村

飛騨民俗村：飛騨地方の文化と歴史を体感できる野外博物館

岐阜県高山市に位置する飛騨民俗村は、合掌造りをはじめとする飛騨地方の伝統的な建築様式を伝える貴重な建造物や、生活用具、工芸品などを集めた野外博物館です。昭和30年代、御母衣ダム建設による水没を機に、失われゆく貴重な民家を後世に残すため、地元の熱意によって設立されました。現在では、「飛騨民俗村」と「飛騨の里」の2つのエリアから構成され、両エリアは約700メートル離れており、徒歩で移動することができます。

多様な展示と体験：歴史と文化に触れる

飛騨民俗村には、重要文化財4棟、岐阜県指定重要文化財7棟を含む約30棟もの民家が移築保存されています。これらの建物は、飛騨地方の様々な地域から集められたもので、それぞれの建築様式や歴史的背景を垣間見ることができます。中には、江戸時代から明治時代にかけて建てられたものもあり、当時の暮らしぶりを想像させる貴重な資料となっています。

また、養蚕や林業といった飛騨地方の伝統産業に関連する道具や資料も多数展示されており、当時の生活の様子をより深く理解することができます。一部の展示品は実際に触れることができるため、五感を使いながら歴史に触れることができます。

さらに、飛騨地方の伝統工芸である一位一刀彫、飛騨春慶塗、草木染め、機織りなどは、工芸集落で伝承保存されており、体験教室も開催されています。わら細工、刺し子、壁飾り、草木染め、さるぼぼ、版画などの制作体験を通じて、伝統技術を学ぶことができます。また、わら細工、刺し子、機織り、ひのき笠、バンドリ（雨具の一種）、ショウケ（ザルの一種）などの民芸品作りの実演も見学できます。

民家の他にも、山岳資料館（旧高山測候所）、土蔵、和紙漉小屋、バッタリ（唐臼）小屋、車田など、飛騨地方の生活空間を再現した建物が点在しています。これらの建物は、当時の生活様式や技術を伝える上で重要な役割を担っており、来場者は、かつての飛騨地方の暮らしに想いを馳せることができます。

飛騨の山村用具と飛騨のそりコレクションは、重要有形民俗文化財に指定されているなど、その価値は高く評価されています。岐阜県からは博物館に相当する施設として指定を受けており、その学術的価値も認められています。

主な建造物

飛騨民俗村には、多くの歴史的建造物が保存されています。その中でも特に重要な建造物をいくつか紹介します。

旧田中家（重要文化財）: 18世紀初頭の田屋で、国学者である田中大秀が使用していたと伝えられています。
旧若山家（重要文化財）: 寛政9年（1797年）建築の合掌造りで、飛騨民俗館の最初の建物として公開された歴史を持つ建物です。
旧吉真家（重要文化財）: 江戸時代中期の入母屋造りの建物です。
旧田口家（重要文化財）: 文化5年（1808年）建築の切妻造りの建物で、かつて卯之原村の庄屋を務めていた家の跡です。
旧西岡家（岐阜県指定重要文化財）など、他にも多くの県指定、高山市の指定重要文化財を含む建造物が存在します。
旧高山測候所（登録有形文化財）: 飛騨民俗村唯一の洋風建築で、山岳資料館として利用されています。
* 匠神社: 複数の神社の建物を移築して作られた神社で、飛騨地方の信仰を知る上で貴重な存在です。

これらの建造物は、それぞれが異なる歴史と特徴を持ち、飛騨地方の建築技術や文化の多様性を物語っています。

アクセス

飛騨民俗村は、岐阜県高山市上岡本町に位置しており、濃飛バス「さるぼぼバス」四季の丘コース「飛騨の里」バス停下車です。

飛騨民俗村は、飛騨地方の歴史と文化を深く理解できる貴重な場所です。伝統的な建物や工芸品、そして体験教室を通じて、飛騨の豊かな魅力を存分に楽しんでください。

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