御母衣ダム

御母衣ダムの概要

御母衣ダム（みぼろダム）は岐阜県大野郡白川村に建設された重要な発電専用のロックフィルダムで、庄川本流の最上流部に位置しています。日本で屈指の高さ131メートルを誇り、管理は電源開発（J-POWER）が行っています。ダム湖は御母衣湖（みぼろこ）と称され、湖の水没予定地から移植された荘川桜では特に知られています。

沿革

計画の発足

庄川は北陸地方に流れる大河川で、太平洋と日本海の分水嶺を水源としています。この川は多雨気候で豪雪地帯であり、急流での水力発電に適した環境として、大正時代からの開発が進められてきました。1926年、白山水力電気による発電所が運転を開始し、その後数次にわたって発電所が建設され、1930年には小牧ダムが完成しました。その後もダム式発電所が続々と建設され、電力需要の増加に応える力を得る必要が生じました。

戦後、日本発[[送電]]による新たな電力開発が進む中、1947年には現在のダム地点が選ばれました。初めは重力式コンクリートダムとして計画されましたが、地質の脆弱さが障害であることが判明しました。

ロックフィルダムの採用

地質調査を進める中、重力式では高コストになる予想がされ、電源開発はロックフィルダム再考を始めました。当時アメリカから技師や専門家を招き、数々の意見を取り入れながら事業を進行させました。1954年に御母衣ダム計画が日本初の大規模ロックフィルダム計画としてまとまりました。

補償と反対運動

ダム建設に際しては、174世帯が水没対象となり、住民達はこれに反発。反対運動が国会での法案審議から始まり、村の文化や伝統を守りたい住民の強い意志が反映されていました。過酷な環境で助け合ってきた住民たちの絆が、ダム建設に対する強い抵抗の原動力となっていた他、交渉の様子や反発が集まる中で、政府も水没住民の生活調査などを行い、補償交渉の再開が行われました。

荘川桜の移植

ダム建設の話題と併せて、荘川桜の移植事業も重要なエピソードの一つです。高碕達之助らが老桜の保護を求め、湖底に沈む運命にあるまでに移植を試みたことは、特に注目されました。この桜の移植は前例もなく、数々の困難を経て桜の成功につながったことが語り継がれています。

ダムの特徴

御母衣ダムは1958年に本体工事が開始され、1961年に完成を遂げました。その設計は独特で、斜めの遮水壁型のロックフィルダム、堤体積は795万立方メートルにも及び、完成時には「東洋一のロックフィルダム」と称されました。管理運営とともに、ダム湖の貯水容量は3億7,000万立方メートルを誇り、観光や水力発電に寄与しています。

御母衣発電所

ダム直下には御母衣発電所があり、最大出力21万5,000キロワットを誇ります。発電所の運転は1961年から始まり、その安定した供給は中部地方および関西地方の電力需要に深く貢献しました。発電所は今も周辺地域の電力を支え続けています。

観光

最後に、御母衣ダム周辺は観光地としても知られています。帰雲城跡や白川郷など、歴史的な観光スポットが多数点在し、大自然の中でのハイキングや季節の変化を楽しむことも可能です。また、アクセスも良好で、今では多くの観光客が訪れ、地域の魅力を満喫しています。

このように御母衣ダムは地域の発電能力を向上させただけでなく、補償交渉や住民との関わり、さらにはその後の活動を通じて、人々や地域文化との繋がりを深めているのです。

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