飛鷹 (空母)

飛鷹（ひよう）

飛鷹は日本海軍の隼鷹型航空母艦の二番艦で、1942年に竣工しました。建造当初は民間の貨客船である出雲丸として設計されていましたが、戦時中の買収を受け、日本海軍により航空母艦に改造されました。これにより飛鷹は特設艦船としての運用が開始され、姉妹艦隼鷹と共に第二航空戦隊に編入されることとなりました。

建造と改造

飛鷹の建造は神戸の川崎重工業で行われ、1941年に日本海軍に買収された後に航空母艦への改装が行われました。当時の出雲丸は上甲板工事まで進んでいましたが、その後の改修により外観は客船の面影をほとんど失うほど変わりました。改装の内容は非常に徹底しており、艦自身の防御能力を強化するために設計されましたが、速力は正規の航空母艦に比べて劣っていました。

特に飛鷹は、機関に737号科の罐を有し、最大速力は約25ノットに設定されていました。商船改造のため、鋼板が薄く防御力には限界がありましたが、航空機の搭載能力に関しては中型空母とほとんど遜色のないものでした。また、特徴的なのは艦橋と煙突を一体化する設計であり、初の試みが成功したとされています。

戦歴

1942年7月に竣工した飛鷹は、同年の8月からガダルカナル島攻防戦に参戦しました。最初の出撃は10月で、その際には南方への進出を果たしましたが、機関の故障により退却を余儀なくされました。その後の修理を経て、飛鷹は再び出撃し、激しい戦闘を繰り広げました。

1943年6月、飛鷹はアメリカの潜水艦トリガーの攻撃を受け、大破しました。この時の雷撃で航行不能に陥り、曳航されることとなりました。横須賀での修理に向かうものの、損傷の影響で航行は難しく、その後の戦闘への参加ができない状況となりました。

次第に戦局が厳しくなる中、1944年6月にはマリアナ沖海戦に参加しました。この際、飛鷹は対空戦闘に従事しましたが、6月20日にはアメリカ軍機による攻撃を受け、魚雷と爆撃を受けて沈没しました。飛鷹の沈没は、多くの乗組員にとって悲劇的な終焉を意味しました。

沈没とその後

沈没の際には、生存者が数名救助されましたが、艦の損失は非常に大きく、日本海軍にとっても痛手となりました。飛鷹の葬送後、多くの乗組員が隼鷹に移乗し、本土に帰還しました。

結論

飛鷹は特設航空母艦として日本海軍の戦いの一翼を担い、多くの戦闘に参加しましたが、最終的にはその運命に翻弄され、悲劇的な結末を迎えました。その歴史は、航空母艦の運用や改装の難しさを物語っており、戦時における軍事力の複雑な側面を示しています。

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