飛龍 (将棋)

飛龍（ひりゅう）について

飛龍は日本の将棋の一種である平安大将棋や大将棋などに登場する駒の一つです。この駒は本将棋には存在しませんが、他の将棋形態においてそのユニークな動きが特長です。特に、飛龍は成ることによってその動きが金将に近いものとなり、戦略において重要な役割を果たします。

平安大将棋における飛龍

平安大将棋では、飛龍は四隅に何マスでも動くことができます。このため、角行と同様の特性を持っていますが、成らない限りは筋違いの位置には何手かけても移動できません。成った場合は金将としての動きになりますが、成る前と後での動きの変化が戦術に影響を与えるため、慎重な判断が求められます。

大将棋とその変種

大将棋、摩訶大大将棋、泰将棋においても、飛龍は成ることで金将に姿を変えます。しかし、成らない限り同様に筋違いの位置には移動できず、特に大将棋では成ることで動けるマス数が8から6に減少するというデメリットが存在します。このように、飛龍は戦略のなかで非常に繊細なバランスを持っている駒の一つです。

大将棋において成った後は、縦横に自由に動けるようになりますが、斜め前の2マスと斜め後ろの位置には動けないという制約もあります。このため飛龍は、大将棋において最も利きを失う駒とされています。敵陣の1段目で成る必要がある猛牛とは異なり、飛龍はどの地点で成っても新たな動きの選択肢を獲得することができる点が特徴です。なお、ルールによっては不成でも敵陣に入ることが可能で、6段目や7段目での成りも考えられます。

大大将棋と大局将棋における飛龍

大大将棋や大局将棋では、飛龍は成ると龍王となる特性を持っています。この状態になることで、飛龍はより広範な範囲への移動が可能になりますが、成らない限りは限られたマスしか進めないという特長は共通しています。特に大局将棋では、未成の状態では特定のマスにしか到達できないため、戦略的に取り扱う必要があります。

まとめ

このように、飛龍はその成りによって駒としての役割が大きく変わるため、さまざまな将棋形式において重要な駒となります。各将棋形態における飛龍の特性を理解し、戦略に活かすことが鍵です。戦況に応じた使い方が求められる飛龍を活用することで、より深い戦術の構築が可能となるでしょう。

脚注

この情報は、梅林勲・岡野伸共著の『改訂版 世界の将棋・古代から現代まで』（将棋天国社、2000年）を参考にしています。興味のある方は、将棋類一覧および将棋類の駒一覧も参照してみてください。

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