食玩CD

食玩CDとは

食玩CDとは、スナック菓子やチョコレートなどの食品に、おまけとして音楽CDを同梱した商品の形態です。2000年代初頭に登場し、2003年頃にブームのピークを迎えました。特に、江崎グリコが発売した「タイムスリップグリコ 青春のメロディーチョコレート」が火付け役となり、多くのメーカーが参入しました。

食玩CDの特徴

同梱されるCDの多くは、8cmCDという小型のものが採用されていました。これは、8cmCDの最大収録時間が約22分程度であること、従来の12cmCDでは製造コストや陳列スペースに課題があったためです。収録される楽曲は、主にシングル曲の表題曲のみで、カップリング曲は収録されないことが一般的でした。これは、製菓メーカーが支払う著作権料などの経費を節約するためでした。しかし、シリーズによっては、タイアップ作品の効果音が収録されることもありました。

楽曲のラインナップは、1960年代から1980年代にかけての流行歌（歌謡曲、演歌、アニメソング、童謡など）が中心で、シングルレコードのジャケット写真を8cmCDサイズに縮小したデザインが特徴的でした。

ブームとその影響

食玩CDブームが起こった2003年には、8cmCDの生産枚数が前年同期の2倍以上となる1709万5000枚を記録しました。また、食玩CDに採用されたアーティストのベストアルバムの売上が伸びるという現象も起きました。例えば、キャンディーズは前年の1.5倍、吉田拓郎は3倍、久保田早紀は4倍以上の売上を記録しました。この現象は、食玩CDが新たな音楽ファン層を開拓したことを示しています。

主なメーカーと商品

食玩CDを発売した主なメーカーと商品には、以下のようなものがあります。

北陸製菓
ReCD：懐かしの歌謡曲を収録
ブルボン
The Audition：オーディション企画と連動したアイドルグループのデビューCD
MUSIC FACTORY：小室哲哉プロデュースのユニットのシングルCD
懐メロクッキー：1960～80年代の歌謡曲を収録
J'sポップスの巨人たち：架空のシングルジャケットでアーティストごとにパッケージ
フォーク/ニューミュージック黄金時代編：フォークソングやニューミュージックを収録
80'sポップス編：1980年代のヒット曲を収録
MUSIC FACTORY
小室哲哉プロデュースの新人ユニットのCD
カバヤ
Memory Time ガム：アメリカンポップスを収録
江崎グリコ
タイムスリップグリコ 青春のメロディーチョコレート：レコードを模したCDで、懐かしの歌謡曲を収録
タイムスリップグリコ グループサウンズ編：グループサウンズを収録
阪神タイガースチョコ＜逆転劇場＞：阪神タイガース戦の実況とナレーションを収録
メガハウス
ゲームサウンドミュージアム：ファミコンやナムコットのゲーム音楽を収録
ネスレコンフェクショナリー
キットカットCDパック：breaktown LABELを参照
森永製菓
ベストヒッツ！ハリウッドチョコフレーク：CD-ROM
ロッテ
歌のアルバム：歌謡曲と玉置宏のナレーションを収録
バンダイ
お菓子CD なつかしのヒーロー&ヒロインヒット曲集：アニメソングを収録
お菓子CD ドラえもんヒット曲集：ドラえもんの主題歌を収録
お菓子CD 仮面ライダースペシャル：仮面ライダーの主題歌を収録
タカラ
昭和おもひで歌謡：懐かしの歌謡曲を収録
オルゴールバスタイム：J-POPのヒット曲をオルゴールアレンジで収録
ピンク・レディー ヒットナンバーコレクション：ピンクレディーのヒット曲を収録
洋楽パラダイス：洋楽を収録
トミー
稲川淳二のこわい話：怪談を収録
サントリー
BOSSオリジナルCD：BOSSコーヒーのキャンペーンCD
懐かしのCD：ウイスキーのキャンペーンCD
日本コカ・コーラ
* ジョージアのキャンペーンCD：ジョージアコーヒーのキャンペーンCD


これらの商品は、音楽ファンだけでなく、幅広い層に支持され、当時の音楽シーンを盛り上げました。

食玩CDの終焉

食玩CDブームは、2000年代後半には終息を迎えました。これは、音楽配信サービスの普及や、消費者の嗜好の変化などが影響したと考えられます。しかし、食玩CDは、そのユニークな販売形態と、懐かしい楽曲の収録によって、多くの人々の記憶に残るものとなりました。

まとめ

食玩CDは、お菓子とおまけの音楽CDという組み合わせで、多くの人々に音楽を届けることに貢献しました。特に、8cmCDというフォーマットで、懐かしの歌謡曲やアニメソングを気軽に楽しめる点が魅力でした。そのブームは短期間で終わりましたが、音楽業界に与えた影響は大きく、2000年代初頭の音楽シーンを語る上で欠かせない存在です。

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