飯塚信夫

飯塚 信夫（いいづか のぶお）

1963年に東京都で生まれた飯塚信夫は、日本の経済学者として多岐にわたる活動を展開しています。彼は特に、日本経済論、経済予測論、そして経済統計といった分野を専門としており、これらの知見を基に日本の経済動向や構造変化の分析を行っています。現在の所属は神奈川大学経済学部であり、教授として教育・研究活動に励んでいます。

経歴

飯塚氏は、1986年に一橋大学社会学部を卒業後、日本経済新聞社に入社しました。編集局の記者として、経済分野の取材や記事執筆を通じてキャリアの第一歩を踏み出します。その後、日経ホーム出版社（現：日経BP）で編集者兼記者としての経験を積み、1997年には再び日本経済新聞社に戻り、編集局経済解説部で記者を務めました。この期間を通じて、経済の現場での取材力と分析力を培いました。

1999年からは日本経済研究センターに活躍の場を移し、研究員として経済分析の専門性をさらに深めます。同センターでは、副主任研究員を経て、2005年には経済分析部長と主任研究員を兼任するなど、要職を歴任しました。ここでは、より学術的かつ定量的な手法を用いた経済予測や日本経済の構造分析に力を注ぎました。2004年には千葉大学大学院社会科学研究科を修了し、経済学修士の学位を取得しています。

長年の経済メディアおよび研究機関での経験を経て、2010年には日本経済新聞デジタルメディアのNEEDS事業本部でシニアエコノミストを務めた後、2011年に神奈川大学経済学部准教授に就任しました。大学教員として、自身の培ってきた専門知識や実務経験を次世代の研究者や実務家に伝える教育活動を開始し、2014年には同大学の教授に昇任しました。大学での活動に加え、2015年からは一橋大学経済学部で非常勤講師を務め、母校での教育にも携わっています。さらに、2021年からは東京財団政策研究所の研究主幹（客員）としても活動しており、多角的な視点から日本の政策課題に取り組んでいます。

研究分野と業績

飯塚氏の主要な研究テーマは、日本経済論、経済予測論、経済統計です。特に、景気循環の分析や、計量経済学を用いた経済予測モデルの構築、さらには経済統計データの活用方法に関する研究に強みを持っています。これらの研究成果は、日本の経済政策の議論やビジネスの現場における意思決定にも示唆を与えるものです。

その研究活動は高く評価されており、2013年には景気循環学会より中原奨励賞を受賞しています。これは、景気循環研究における顕著な貢献が認められたものです。

主な著作

飯塚氏は多くの共著書・共編著書を通じて、自身の研究成果や経済分析の知見を広く社会に発信しています。代表的な著作には以下のようなものがあります（いずれも共著または共編著）。

『景気循環と景気予測』（東京大学出版会、2003年）
『EViewsによる経済予測とシミュレーション入門』（日本評論社、2006年）
『日本経済の構造変化と景気循環』（東京大学出版会、2007年）
『超長期予測 老いるアジア』（日本経済新聞出版、2007年）
『世界同時不況と景気循環分析』（東京大学出版会、2011年）
『経済時系列分析ハンドブック』（朝倉書店、2012年）
* 『入門 日本経済（第５版／第６版）』（有斐閣、2015年／2020年）

これらの著作は、専門家向けの高度な分析手法を紹介するものから、日本経済の現状や課題を分かりやすく解説した入門書まで、幅広い読者層を対象としています。また、経済予測や景気循環といった専門分野に加えて、アジア経済の将来や、経済学の応用として地震防災対策といった多角的なテーマにも取り組んでいることがうかがえます。

神奈川大学のウェブサイトや研究者情報データベース、自身の研究室ホームページなどを通じて、飯塚氏の研究活動や最新の情報に触れることができます。

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