飯森範親

飯森範親（いいもり のりちか）は、1963年5月17日生まれの日本の指揮者です。神奈川県鎌倉市で生まれ、神奈川県立追浜高等学校を経て、桐朋学園大学指揮科を卒業しました。その後、ベルリンに留学し、研鑽を積みました。

1985年には民音コンクール指揮で第2位（1位なし）を受賞し、1987年にはブザンソン国際指揮者コンクールで2名の同格入選者のうちの一人となりました。さらに1988年には、マスタープレイヤーズ国際音楽コンクールで大賞を受賞するなど、若くしてその才能を高く評価されました。

1989年からは、バイエルン国立歌劇場にてヴォルフガング・サヴァリッシュ氏の元で修行を重ね、1994年には東京交響楽団の専属指揮者となり、同楽団のポルトガル演奏旅行などを指揮しました。2004年からは同楽団の正指揮者に就任し、その手腕を発揮しました。また、1994年から1998年にはモスクワ放送交響楽団の特別客演指揮者を、1995年から2002年までは広島交響楽団の正指揮者を務めました。

その他、アルトゥール・ルービンシュタイン・フィルハーモニー管弦楽団（ポーランド）の首席客演指揮者、山形交響楽団のミュージック・アドヴァイザー兼常任指揮者（2007年より音楽監督）、いずみシンフォニエッタ大阪の常任指揮者、大阪音楽大学ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団の常任指揮者（2002年より名誉指揮者）などを歴任しています。1999年には北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団（ハノーファー）を指揮したほか、フランクフルト放送交響楽団、ケルン放送交響楽団、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団、プラハ交響楽団、ドルトムント歌劇場、バーゼル交響楽団など、世界各国のオーケストラに客演しています。

2001年9月からはバーデン＝ヴュルテンベルク州のヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団の音楽総監督に就任し、2006年2月には日本ツアーを成功させました。同年7月には、日本人指揮者として初めてドイツのオーケストラと共演し、「ベートーヴェン交響曲全集」のCDをリリースしました。2003年9月には、NHK交響楽団定期演奏会でグスタフ・マーラーの交響曲第1番を指揮し、NHK交響楽団の年間ベスト10コンサートに選出され、2007年のNHKニューイヤーオペラコンサートでも指揮を務めました。2006年度には芸術選奨新人賞を受賞しています。

2007年からは山形交響楽団の音楽監督に就任し（2022年から桂冠指揮者）、2014年4月からは日本センチュリー交響楽団の首席指揮者に就任。2020年1月からは東京佼成ウインドオーケストラの首席客演指揮者、2020年4月からは中部フィルハーモニー交響楽団の首席客演指揮者に就任しています。2021年4月からは東京ニューシティ管弦楽団（現パシフィックフィルハーモニア東京）のミュージック・アドヴァイザーに就任し、2022年4月からは同楽団の音楽監督を務めています。2023年4月からは群馬交響楽団の常任指揮者に就任し、現在も精力的に活動しています。

飯森氏は、ドイツ音楽を得意とする一方で、西村朗やマウリシオ・カーゲルなど現代音楽にも造詣が深く、その幅広いレパートリーと情熱的な指揮で多くの聴衆を魅了しています。

エピソードとして、料理が得意で、親友の指揮者藤岡幸夫氏によると「まさか彼が料理をするとは思わなかったしその美味にショック」というほどの腕前であると言われています。また、テレビドラマ「のだめカンタービレ」では指揮演技指導を担当しており、映画『おくりびと』にもオーケストラの指揮者として出演しています。

マウリシオ・カーゲルの「指揮者が倒れる」という指示が出されている曲『フィナーレ』を日本で指揮した経験のある唯一の指揮者であり、その指揮の模様は『トリビアの泉 〜素晴らしきムダ知識〜』で取り上げられたこともあります。

著書には『マエストロ、そこまで話していいんですか!? ―飯森範親の名曲レシピ』（ヤマハミュージックメディア、2012年）があります。また、『「マエストロ、それはムリですよ・・・」 ~飯森範親と山形交響楽団の挑戦~ 』（ヤマハミュージックメディア、2009年）を監修しています。

飯森範親は、日本の音楽界を牽引する重要な存在であり、今後の活躍も大いに期待されています。

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