飯沼慧

飯沼 慧（いいぬま けい）

飯沼慧は、1926年に大阪府に生まれ、2011年に85歳で逝去した日本の俳優および声優です。彼のキャリアは、舞台、テレビドラマ、映画、アニメなど多岐にわたり、特にその存在感と幅広い演技力で知られています。

来歴・人物

幼少時代に京都から大阪へ移り住んだ飯沼は、関西工業学校の土木科を卒業後、兵庫県の土木部に就職しましたが、その後兵役に就くことになりました。終戦後、彼は舞台の世界へと足を踏み入れ、1948年に大阪を拠点とする劇団芸術劇場に入団。彼の特異な風貌から、若い頃から老け役を多く演じることとなります。その後、劇団プロメテに移籍し、1966年には文学座養成所に入所し、2年後には座員となります。

飯沼はテレビドラマの黎明期から数多くの作品に出演しており、特に茂木草介の脚本作品では重要な役割を果たしました。彼の代表作には、『部長刑事』で演じた沼部長刑事があり、長く視聴者に親しまれました。この役では「沼さん」という愛称がつけられ、決め台詞やポーズが多くの人々に真似されることとなります。また、アニメ声優としても、『もののけ姫』や『ゲド戦記』で重要なキャラクターを演じ、幅広い層からの支持を得ました。

演技の特長

飯沼は多様な役に対応できる実力派の俳優として知られています。彼は小市民から権力者まで、さまざまな人間のリアリティを表現し、観客に強い印象を与えました。その演技は、作品ごとに異なるキャラクターに命を吹き込み、観る者の心に残る存在となっていました。表現の幅広さと人間性を宿したキャラクターの描写は、彼の大きな魅力のひとつです。

2011年には戯曲『にもかかわらずドン・キホーテ』で、第46回紀伊國屋演劇賞の個人賞を受賞。この受賞は彼の演技力が高く評価された証です。また、彼は85歳で呼吸不全のため逝去しましたが、その才能は今も多くの人に愛されています。

エピソード

飯沼のエピソードとして、ある年の「部長刑事」の新年会での出来事が知られています。宴会が隣室から騒がしく聞こえたことから、確認に行くと、その正体は暴力団の宴会でした。彼は沼部長のキャラクターのまま振る舞い、「じゃかましい!!!!!!!」と一喝しました。すると、奥から貫禄のある親分が出てきて、彼がいつも楽しみにしている番組の俳優であることを認識し、謝罪されたというユニークなエピソードです。

主な出演作品

最近の作品を含め、以下のようなテレビドラマや映画、舞台に多数出演しています。

• - テレビドラマ: 『部長刑事』、大河ドラマ『元禄太平記』、『水戸黄門』など。
• - 映画: 『黒い雨』、『ディア・ドクター』、『テルマエ・ロマエ』など。
• - 舞台: 『リア王』、『犀』、『華岡青洲の妻』など。

飯沼の才能は、様々な場面で表現され、観客に深く印象を残してきました。彼の功績は、後世の俳優たちに多大な影響を与え続けております。

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