飯田橋検車区

飯田橋検車区：二つの路線の歴史を彩る車両基地

飯田橋検車区は、帝都高速度交通営団（現在の東京メトロ）が運営していた東西線と有楽町線、それぞれの路線に存在した車両基地です。両路線ともに同名の検車区が設置されていましたが、それぞれの背景や役割は異なっていました。

東西線 飯田橋検車区

1964年、東西線の部分開業に合わせて発足した飯田橋検車区は、本格的な車両基地が未整備だった開業初期において、車両の検査や保守を担う重要な役割を果たしました。飯田橋 - 九段下間の側線を利用し、地上に事務所、地下に検査ピットやリフティングジャッキなどの設備を設けて、月検査や毎日検査、臨時修繕、車両清掃といった業務を行っていました。

しかし、開業当初は車輪の保守ができなかったため、最高速度を40km/hに制限せざるを得ない状況でした。車両の搬入は、九段下 - 竹橋間のトンネル上部に設けられた搬入口からクレーンで地下に降ろすという、独特な方法が取られていました。

その後、中野駅延伸に伴い、三鷹電車区内に三鷹出張所が設けられ、毎日検査や新造車両の受取検査が行われるようになります。また、中野駅の引き上げ線も一時的に車両検車線として利用されました。1967年の東陽町延伸と深川検車区の開設に伴い、東西線の飯田橋検車区は廃止されましたが、留置線としてその一部は現在も利用されています。

特に、九段下 - 飯田橋間の留置線は、九段下駅で折り返す列車が使用しており、夜間には車両留置にも使われています。この留置線は、本線との接続が課題となっており、2025年度の完成を目指して、本線に接続する工事が進められています。

有楽町線 飯田橋検車区

有楽町線の飯田橋検車区は、1974年に路線の開業に先駆けて発足しました。都心部を通る有楽町線は、地上に車両基地を確保することが難しかったため、外堀の地下に留置線を設け、検車区としました。この場所は、池袋 - 銀座一丁目間のほぼ中間地点であったため選ばれました。

検車区の建設にあたっては、大規模な開削工事が行われました。有楽町線は千代田線との間に連絡線を持ち、新造車両の受取や一部検査を綾瀬車両基地で行っていたため、飯田橋検車区は一時的な検査場としての役割が強かったと言えます。

主な業務は、車両の留置、列車検査、故障修繕、車両洗浄などでした。飯田橋 - 市ケ谷間のほぼ全線にわたって留置線が設けられ、途中までは2線、終端部は1線となっていました。また、南北線との連絡線も設けられ、相互乗り入れに備えました。検車区内には、車両洗浄機や列車検査線、事務室や休憩室などの施設も設けられていました。

有楽町線の7000系車両は、和光検車区が発足するまでは全て当検車区に所属していました。しかし、飯田橋検車区だけでは収容力が不足するため、綾瀬検車区との間で入出庫回送列車が運行されていました。10両編成化されるまでは、5両編成2本を連結して運行し、回送列車の本数を減らす工夫がされていました。

その後、和光検車区の開設に伴い、有楽町線の飯田橋検車区は廃止されましたが、その歴史は東京メトロの発展を物語る上で、重要な一部分と言えるでしょう。

参考文献

帝都高速度交通営団「東京地下鉄道東西線建設史」 - メトロアーカイブアルバム（公益財団法人メトロ文化財団）
『東京地下鉄道有楽町線建設史』帝都高速度交通営団、1996年7月31日。

関連項目

日本の車両基地一覧
東京地下鉄

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