飲中八仙

飲中八仙とは

飲中八仙（いんちゅうはっせん）とは、中国・唐の時代に活躍した八人の酒豪たちのことです。彼らは、詩人杜甫の『飲中八仙歌』という詩によって、その名が広く知られるようになりました。この詩は、杜甫が同時代の酒好きの有名人たちを面白おかしく描き出したもので、彼らの豪快な飲みっぷりや、酒にまつわる逸話がユーモラスに語られています。

飲中八仙のメンバー

『飲中八仙歌』に登場する八人のメンバーは、以下の通りです。

賀知章（が ちしょう）：字は季真、四明狂客とも号しました。詩人として李白と親交があり、書道にも長けていました。無類の酒好きで、酔って馬に乗る姿はまるで船に乗っているようだと歌われています。
汝陽王李璡（じょようおう り しん）：皇帝の息子でありながら、大の酒好き。毎朝出仕前に三斗の酒をあおり、酒に出会うと涎を垂らしたと伝えられています。
李適之（り てきし）：左丞相という高い地位にありながら、毎日莫大な金を酒に費やしていたという大酒豪です。清酒を好み、濁酒は飲まなかったと言われています。
崔宗之（さい そうし）：美少年で、酒を飲む姿は絵のように美しかったと伝えられています。
蘇晋（そ しん）：仏像の前では肉を食べないものの、酒を飲むと座禅もしていられないほどの酒好きだったと歌われています。
李白（りはく）：言わずと知れた大詩人。一斗の酒を飲むと百篇の詩を作り、酔っては「自分は酒仙だ」と嘯いていたという伝説的な人物です。日本でも「李白は一斗飲めば百編の詩を生んだ」という逸話が有名で、川柳にも詠まれています。
張旭（ちょう きょく）：酒の力を借りて素晴らしい草書を書いたとされています。王侯の前でも平然と頭を剥き出しにして筆をふるい、その書は雲が湧き上がるようだと称えられました。
焦遂（しょう すい）：在野の人で、五斗の酒を飲むと意気揚々となり、周囲を驚かせるような言動をしたと伝えられています。

『飲中八仙歌』について

杜甫がこの詩を作った背景には、当時の社会における酒文化と、酒を愛する人々への親愛の情があったと考えられます。詩の中で、杜甫は八人の酒豪たちの個性と酒にまつわる逸話を、ユーモラスかつ生き生きと描き出しました。この詩は、単なる酒飲みたちの紹介にとどまらず、彼らの人間性や、当時の社会の雰囲気を伝える貴重な資料となっています。

まとめ

飲中八仙は、単なる酒好きの集団ではなく、それぞれの分野で才能を発揮し、その生き様が人々に愛された魅力的な人物たちでした。彼らの酒にまつわる逸話は、現代でも多くの人に楽しまれ、語り継がれています。

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