養生 (健康)

養生の概念と歴史

養生（ようじょう）とは、主に人の身体の健康状態を整え、健康を促進し、病気の自然治癒を助けることを指します。その考え方は古代中国の思想に深く根ざしており、後に日本にも影響を与えました。

中国の養生思想

中国における養生の概念は、特に戦国時代から後漢時代にかけて形成されました。この時期、国家間の戦争や社会の混乱が続き、人々は安定した生を求めるようになりました。老子や荘子などの道教哲学は、無為自然を重視し、静かに生きることの重要性を説きました。このような思想の中で、過度な飲食を避けて規則正しい生活を送る養生の考えが生まれたのです。

老荘思想と養生

道教の哲学者である老子は、「静をもって生を養う」という考え方を示し、静的な養生法として気功を提唱しました。一方、儒教の孔子は、静的な養生と動的な養生の結合を重視し、動静を有機的に融合させた生活を提案しました。

また、後漢時代の著名な医師である華佗は、「動をもって生を養う」とし、運動主体の養生法である「五禽戯」を発展させました。この方法は、後の中国武道や日本の柔道、空手に影響を与えています。

養生の発展

隋代から唐代にかけての医師、孫思邈は医学書『千金要方』や『千金翼方』を著し、その中で「養生十三法」という方法を提唱しました。これは耳聡目明法（聞こえる耳、見える目を養う方法）を含んでおり、養生の重要性を伝えています。

日本の養生思想

日本においては、貝原益軒が著した『養生訓』が重要な著作として知られています。彼は老荘思想や儒教から得た知識を日本人に向けて分かりやすく解説し、運動、栄養、休息のバランスを取ることの重要性を説きました。特に、控えめな飲食や口腔衛生の重要性を強調し、日常生活に役立つ養生の知恵を提供しました。

柔軟な発想を持つ養生は、体調を維持し、疾病の予防にも寄与するため、現代においてもその価値が広く認識されています。健康的なライフスタイルを実現するための手助けとなる知識を、古代から受け継いできたことは意義深いと言えるでしょう。

もう一度検索