香の図

香の図について

香の図（こうのず）は、香道において特定の組香や美術作品のデザインとして使われる特殊な線のパターンです。主に利用されるのは、源氏香（げんじこう）、系図香（けいずこう）、および三種香（さんしゅこう）と呼ばれる3種類の組香です。これらの図は、香道の中で香りを楽しむ際に重要な役割を果たしています。

源氏香の図

源氏香の図は、基本的に縦に5本の線で構成されています。この5本の線は、それぞれ異なる香りを示しており、右から順に第1香、第2香、第3香、第4香、第5香と名付けられています。参加者はこれらの香りを嗅ぎ分け、同じ香りだと感じた香の頭を横線で結びます。例えば、2番目の香りと5番目の香りが同じで、他は異なる場合、結果として表れるのは「藤袴」という名前になります。源氏香には、全体で52通りの組み合わせが存在し、これらは源氏物語の52篇にそれぞれ対応しています。源氏物語の内、桐壺と夢浮橋の2篇以外の作品名が付与されているのです。

この源氏香の図は、その独特な美しさから、着物や帯、あるいは重箱などの装飾にもよく用いられています。また、和菓子のデザインにも影響を与えており、香道の影響を見ることができます。2023年に日本で行われた国際数学オリンピックのロゴには、第16帖「関屋」が用いられたことが話題になりました。デザイナーの小林吹代は、この選択が関孝和の「関」と関連付けられることを指摘しています。

系図香の図

系図香の図は、縦に4本の線からなり構成され、香りの数は源氏香より1本少ないのが特徴です。この図も、香を嗅いで横線で結ぶことで完成します。系図香にもそれぞれ名前が与えられており、香道の流れの中で重要な役割を担っています。

三種香の図

三種香の図は、縦に3本の線で作られており、これは源氏香よりも2本、系図香よりも1本少ない構成となっています。香りの数が減少した分、シンプルさが際立ち、それでも同香の頭を結ぶことで完成形が形成されます。この図にも特定の名前が付けられています。

フォントと関連情報

香の図は、今昔文字鏡に含まれており、またNishiki-tekiフォントやQuiviraフォントでも表示することができます。特にNishiki-tekiフォントは、源氏香を含む系図香や三種香の図にも対応しているため、幅広く利用できるでしょう。これらのフォントは、デジタル空間でも香道の美しさを表現しようとするクリエイターにとって欠かせないツールと言えます。

香道や関連する文献、特に源氏物語を学ぶ際には、香の図を理解することが特に重要です。匂いを通じての文化的な交流や、香道の芸術性を深く味わってみることで、私たちの感性を豊かにすることができるでしょう。

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