香取川

香取川の概要と歴史

香取川（かとりがわ）は、かつて存在した揖斐川の分派川であり、明治時代の大規模な土木工事により廃川となりました。この川は、1900年（明治33年）をもってその流れを失いました。香取川は当時、岐阜県と三重県の境界で揖斐川から分岐し、南流しながら現在の山除川の流路を遡り、最終的には多度川に合流する形でした。

この流域には、香取川と揖斐川の間に七郷輪中、さらに香取川の西側には太田輪中が形成されていました。これらの輪中は、周辺地域を水害から守るための重要な役割を果たしていました。

香取川の歴史

香取川自体の誕生時期については詳しい記録が残っていないものの、七郷輪中の開発は江戸時代初期に始まったことが知られています。このことから、香取川はそれ以前から存在したと予想されます。江戸時代中頃になると、揖斐川上流や養老山脈からの土砂流入が増加し、香取川は次第に天井川化していきました。これに伴い、揖斐川本体との疎通が悪化し、治水の問題が浮上しました。

1747年（延享4年）には、二本松藩による手伝普請で香取川の浚渫が実施されました。浚渫によって得られた土砂の大部分は七郷輪中内の築堤や土地のかさ上げに使われましたが、香取川の根本的な改善は達成できませんでした。続く1754年（宝暦4年）には、薩摩藩による治水事業が行われ、香取川の廃川が一時議論されましたが、揖斐川堤防の引堤が難しいことから実現には至りませんでした。

明治時代に入ると、最新の土木技術による治水工事が検討されるようになりました。この時、明治政府が招いたオランダ人技師、ヨハニス・デ・レーケによる改修計画において、香取川の廃川が含まれていました。デ・レーケの初期の計画では、香取川全域を廃止し新たに排水路を設けるつもりでしたが、その後の計画変更により、廃川の範囲は部分的なものとなりました。最終的には、旧香取川の上流側は山除川が逆流して揖斐川に合流し、下流側は多度川が揖斐川に合流する新たな河道として転用されました。

香取川の支流

香取川にはいくつかの主要な支流が存在しました。下流側から順に以下の支流が挙げられます：

• - 肱江川
• - 多度川
• - 山除川
• - 長除川

これらの支流は、香取川の流れと周辺地域の水循環において重要な役割を果たしていました。香取川とその支流群は地域の歴史や文化にも深く関わっており、今でもその痕跡がわずかに残っています。

香取川の廃川は、当時の治水技術の限界や自然環境の変化を反映した歴史的な出来事でした。現在では、香取川の流域はかつての姿を忘れられつつありますが、地域の水環境について考える上で重要な事例として位置づけられています。

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