香椎照葉

香椎照葉（かしいてりは）は、福岡県福岡市東区に属する町名です。現在の行政区分では、香椎照葉一丁目から七丁目までがこの地域を構成しています。このまちは、1994年（平成6年）7月29日から2004年（平成16年）1月23日までの期間に、博多湾の海面を埋め立てて創り出された人工島の一部にあたります。具体的には、西側に隣接するみなと香椎（通称「みなとづくりエリア」）と共に、福岡アイランドシティと呼ばれる人工島を形成しており、香椎照葉はその中でも「まちづくりエリア」として位置づけられています。

町域の面積は約190ヘクタールに及び、多様な土地利用が特徴です。中高層住宅や低層住宅が中心に据えられつつも、教育・科学・文化・芸術・スポーツに関連する施設、健康・医療・福祉・新産業に関連する施設、さらには商業・産業に関連する施設なども計画的に配置されています。加えて、住民の憩いの場となる公園や緑地、美しい景観を作り出す修景護岸なども整備されており、機能的でありながら快適な居住環境が追求されています。2022年6月末時点での人口は13,604人に達しています。郵便番号は813-0017です。

地理的には、福岡市の中心部である中央区天神からは北北東へおよそ8.5キロメートル離れた位置にあり、東区のほぼ中央部に広がっています。北、東、南の三方を博多湾に囲まれ、西方では臨港道路アイランドシティ1号線を境にみなと香椎に接しています。また、博多港を挟んで、北側には雁の巣、奈多団地、塩浜、東側には和白、唐原、香住ヶ丘、御島崎、南側には香椎浜、香椎浜ふ頭といった地域が対岸に位置しています。これらの対岸地域とは複数の橋で結ばれており、例えば雁の巣とは「海の中道大橋」が、香椎浜ふ頭とは「香椎アイランドブリッジ」（臨港道路アイランドシティ1号線）や「御島かたらい橋」（奈多香椎浜線）が、そして香住ヶ丘とは歩行者専用の「あいたか橋」がそれぞれ連絡しています。町内に流れる河川は存在しませんが、西側の対岸にある河川の河口からは水が周辺海域に注ぎ込んでいます。

都市計画において、香椎照葉は重要な役割を担っています。福岡市都市計画マスタープランでは、アイランドシティ全体が「活力創造拠点」として位置づけられており、香椎照葉地区は、環境との調和を図りつつ、快適な居住空間と新たな産業が集積する先進的なモデル都市として将来像が描かれています。この将来像を実現するため、エリアは「住宅ゾーン」をはじめ、「新産業・研究開発ゾーン」（健康・医療・福祉・新産業関連機能）、「複合・交流ゾーン」（緑地等の交流空間、商業・産業機能）、「環境ゾーン」（海や緑とふれあう空間）、「センター地区」（商業・業務機能、教育・科学・文化・芸術・スポーツ機能など）といった機能ごとに細かくゾーニングされています。また、約2.5キロメートル離れた「東部広域拠点（香椎・千早）」と位置づけられる千早駅周辺地区とも比較的近い距離にあります。土地の利用目的を定める用途地域としては、アイランドシティ中央交差点を中心とする約23ヘクタールの区域が商業地域に指定されているほか、奈多香椎浜線沿いの一部が第二種住居地域に、それ以外の大部分は第二種中高層住居専用地域に指定されています。さらに、複数の地区計画が細かく設定されており、地域ごとの特性に応じたきめ細やかなまちづくりが進められています。

地区内の主要な公共交通手段はバスです。西日本鉄道が運行するバス路線が整備されており、住民の移動を支えています。町内に鉄道駅はありませんが、近隣の主要な鉄道駅としては、九州旅客鉄道（JR九州）の鹿児島本線香椎駅（道程で約2.5kmから5km）、およびJR九州鹿児島本線と西日本鉄道（西鉄）貝塚線が乗り入れる千早駅（西鉄千早駅、道程で約3kmから5km）があります。都市高速道路としては、福岡高速6号アイランドシティ線がエリア内を通り、アイランドシティ出入口（福岡市立こども病院近く）が設置されており、福岡高速1号香椎線とも香椎浜ジャンクションで接続しています。また、臨港地区であるみなと香椎との境界には、臨港道路アイランドシティ1号線が南北に縦断しており、この道路は香椎アイランドブリッジや海の中道大橋といった重要な橋梁に接続しています。

香椎照葉には、住民の生活を支える様々な施設が集積しています。公立の小中学校として、施設一体型小中一貫校の福岡市立照葉小中学校と、福岡市立照葉北小学校が設置されています。また、株式会社が運営する通信制大学であるサイバー大学福岡キャンパスも置かれています。医療施設としては、福岡市立こども病院や医療法人相生会福岡みらい病院があり、地域医療を担っています。住宅は、地区計画やゾーニングに基づいて、低層、中層、高層、さらには超高層の建物がバランス良く配置されています。その他、商業施設や交流施設を含む「アイランドアイ（island eye）」、病気の子どもとその家族のための滞在施設「ドナルド・マクドナルド・ハウスふくおかハウス」、温浴施設「照葉スパリゾート」など、多様な機能を持つ施設が立地しています。

町名である「照葉」は、照葉樹に由来するとされています。これは、この地域がかつて照葉樹林帯の一部であったこと、あるいは新しいまちが豊かな緑に覆われることを願って名付けられたものと考えられます。このように、香椎照葉は海を埋め立てて創られた新しい土地でありながら、計画的なまちづくりと多様な機能の集積により、独自の個性を持ち、先進的なモデル都市として進化を続けています。

もう一度検索