香流川

香流川（かなれがわ）

香流川は、愛知県長久手市と名古屋市を流れる、庄内川水系に属する一級河川です。長久手市の岩作三ケ峯付近に源を発し、市内を蛇行しながら北西へ流れ、名古屋市名東区へと入ります。名東区内では、杁ヶ池公園を水源とする藤ノ木川と合流し、千種区で矢田川に合流します。香流川は矢田川の流量の約四分の一を占めており、矢田川は庄内川に合流するため、香流川は庄内川水系の二次支川にあたります。

地理と自然

長久手市内では、川沿いに散策コースが整備されており、地域住民の憩いの場となっています。夏には蛍が舞い、冬には鴨が飛来するなど、身近に自然を感じられる場所としても親しまれています。かつて愛知青少年公園の建設工事によって源流の生態系が破壊された時期もありましたが、愛知万博の際には環境影響評価を実施するなど、環境保全への配慮も行われました。

名東区内では、香流川の両岸に約2キロメートルにわたる桜並木が続いており、春には桜まつりが開催されます。香流川緑道は、サイクリングや散策を楽しむ人々にとって格好の場所です。川には鯉やミドリガメが生息し、桜の季節にはメジロなどの野鳥も姿を見せます。かつては見られた蛍の姿は、近年では減少傾向にあります。

名古屋市内の緑道は、TBS系ドラマ「キッズ・ウォー」シリーズのロケ地としても使用されました。また、川には多くの人道橋が架けられており、地域住民の生活を支えています。

流域の自治体

愛知県
長久手市
名古屋市
守山区
名東区
千種区

主な支流

堀越川
香桶川
雁又川
藤ノ木川（長久手市内では鴨田川と呼ばれる）
八前川

主な橋梁

矢田川合流地点から上流へ

ふれあい橋（人道橋）
香流橋（出来町通・愛知県道215号田籾名古屋線）
久留里人道橋
新屋敷橋
神の木人道橋
中島橋
香月人道橋
引山橋（名古屋環状2号線・国道302号）
延珠橋
延珠第2水管橋（水道橋）
--- （水道橋）
延珠人道橋
藤森橋
新藤森橋（愛知県道59号名古屋中環状線）
振興橋
下川原橋
西原橋
草掛橋
新池田橋
-- 以下略

名前の由来

香流川という名前の由来には、いくつかの説があります。

「河流」が約まり、それに佳字を当てたという説（『日本全河川ルーツ大辞典』）。
片流れが変化したという説。
流域で選鉱が行われていたことから「金連川」「金流川」（かなれがわ）と呼ばれるようになり、表記が変化したという説（『香流川物語』）。
応仁の乱時に兵火で焼け落ちた権道寺の焼けくずを川に投げ捨てた所、それ以来川より香の漂うようになり、その香源をたずねたところ、黄金の仏像が現れたという伝説。
水源の川底より香煙が立ち上ったという伝説。
川底を掘ったら黄金の仏像が出たという伝説。
浅流或いは全く涸渇の時もあり、涸流川とも呼ばれたという説（『香流川物語』）。
川より地蔵尊（永見寺）、大日如来（宗延寺）、薬師如来（昌隆寺）を掘り出したという伝説。
猪に追われた娘が祈ると猪の前で川の流れが急に大きくなり娘が助かったという伝説。

これらの説は、香流川が地域住民の生活や信仰と深く結びついてきたことを物語っています。

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