香港の教育

香港の教育制度

香港の教育は、初等教育から高等教育まで幅広い層を対象としています。義務教育は小学校1年生から中学校3年生まで（初級中学）の9年間と、後期中等教育（高級中学）の3年間、合計12年間または13年間です。この間、学費は無償です。香港の学年は9月に始まり、翌年7月に終わる2学期制を採用しています。

義務教育

香港では、初等教育（小学校1年から6年）と前期中等教育（中学校1年から3年）が義務教育です。その後、後期中等教育（中学校4年から6年）に進むことが一般的です。後期中等教育は、中学校4年から5年の2年制と、中学校6年から7年の2年制予科課程があります。合計で12年または13年の教育を受けることになります。

カリキュラム

香港の学校では、以下の科目が必修とされています。

中国語（広東語または普通話）
英語
数学
常識・通識教育・綜合人文科（社会科に相当）
地理科・観光ともてなし
歴史科
公衆事務（公民科に相当）
科学（理科に相当）
物理
化学
生物
企業、会計と財務概論（商業）
情報通信技術、コンピュータ（情報科に相当）
音楽
視覚芸術
家政（家庭科に相当）

就学前教育としては、私立の保育所や幼稚園が、団体生活の機会を提供しています。

初等教育

初等教育は6歳から12歳までの6年間です。この期間に、基礎的な知識と技能を習得します。

中等教育

中等教育は、初級中学（3年間）と高級中学（3年間）の二段階で構成されます。高級中学までは義務教育です。香港の中学校には、英語で教育を行う学校（約20％）と、中国語（広東語または普通話）で教育を行う学校（約80％）があります。

英語で授業を行う学校は「英文中学」または「EMI学校」と呼ばれ、中国語と中国史以外の科目を英語で教えます。英語教育は、国際社会での活躍を視野に入れたものですが、科学技術用語を英語で学ぶため、中国語での表現がわからなくなるという課題も指摘されています。一方、中国語で授業を行う学校は「中文中学」と呼ばれ、広東語または普通話で授業が行われます。

高校（高級中学）は義務教育ではありません。2010年に公立高校の受験は廃止されています。

高等教育

香港には、政府が認可した公立大学が8校あります。最も古い大学は1911年に設立された香港大学（HKU）で、香港中文大学（CUHK）も国際的に著名です。これらの大学は、長年、香港の高等教育を牽引してきました。その後、1984年に香港城市大学、1991年に香港科技大学、1994年に香港理工大学と香港浸会大学、1999年に嶺南大学が設立されました。また、2006年には香港初の私立大学である香港樹仁大学が、2016年には香港教育大学が、2018年には香港恒生大学が開学しました。

大学以外にも、香港演芸学院のような法定学院や、珠海学院などの認可専上学院があります。2000年には、アメリカのコミュニティカレッジや日本の短期大学に相当する「副学士」制度が導入され、大学などが2年または3年のコースを実施しています。

歴史

香港の教育は、知識偏重の「詰め込み教育」になりがちで、批判的思考力の育成が課題とされてきました。2008年まではイギリス植民地時代の制度が採用され、小学校6年、中学前期課程3年、中学後期課程2年、大学予科2年、大学3年という学制でした。

2007年、香港政府教育局は教育改革を行い、「九種の共通能力」と「四つのキーポイント」という概念を導入しました。

「九種の共通能力」とは、知識、技能、価値観、態度など、総合的な学習能力を指します。

「四つのキーポイント」とは、徳育及び公民教育、読書から学習すること、テーマに関する研究及び学習、ITを活用したインタラクティブな学習を指します。

学制改革により、2009年度から「六三三四制」と呼ばれる新しい制度が導入され、義務教育は9年間を維持したまま、中学後期課程を3年、大学を4年とするようになりました。これは日本と同じ学制です。この制度は2009年度の高校入学者から適用され、2012年9月には最初の「四年制大学」の入学者が誕生しました。大学入試は、中国語、英語、数学、通識教育の基本4科目と、選択科目2～3科目で実施される予定です。

「六三三四制」の導入に伴い、2011年度から予科課程が廃止され、従来の予科課程の入学資格を得ていた人は、大学や専門学校に進学する際に「香港中學文憑考試」という新しい試験に合格する必要があります。


香港の教育制度は、常に変化を遂げながら、学生の成長をサポートしています。

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