香港の白い薔薇

香港の白い薔薇

『香港の白い薔薇』は、1965年8月25日に公開された日本と台湾の合作映画で、そのカラーの映像とシネマスコープの形式が特徴です。本作は、橋本忍の原案をもとに、脚本家・池田一郎が執筆し、監督の福田純が手がけたメロドラマです。当初、映画は『香港―東京999（スリーナイン）』というタイトルで進行していました。撮影はデュオの宇野晋作が行い、見る者を惹きつける映像美が話題になりました。

あらすじ

物語は、麻薬捜査官の松本がジャズフェスティバルの会場で美しい女性・林玉麗と出会うところから始まります。松本は日本の商社による麻薬密輸を追っており、美人である玉麗に心を惹かれながらも、警察官のタマレイを疑います。この出会いは、後に大きな運命を巻き起こします。

物語中、密輸に関わった高島武山社長が禁断症状でショック死する事件が発生します。その背景には、日本での薬物経路の開発に関与していた事実があり、松本は香港の商社との関わりを疑って調査を進めます。彼は、香港に向かい旧友の内木と再会しますが、そこで不思議な人物関係が明かされることになります。

松本が秘かに商社の社長を逮捕した後、彼は凱旋のように帰国しますが、その目には確かな問題意識が宿っていました。松本は逮捕した者たちがより大きな犯罪組織の一部であることを直感し、再び香港に飛び立つことを決意します。

彼が台湾へ戻った際、玉麗に出会い、彼女との関係が深まるものの、松本は内木に関する shockingな事実を突きつけられます。実は、孤独なウツギは玉麗の兄であり、復讐の火花が散り始めていたのです。松本は内木を救うため、彼を捕らえる選択をしますが、それがまた新たな悲劇につながることに。

物語は松本と玉麗の間に生まれた深い愛情と同時に、その愛を引き裂く運命的な新たな真実が交錯します。松本は最終的に彼女の元を去る決意をし、彼女もまた東京と香港の間で引き裂かれた心情を抱えることになってしまいます。二人の痛みは、香港の美しい海の光と冷徹な現実の中に沈んでいきます。

キャスト

映画には、山﨑努、張美瑤、宝田明などの名前が並び、彼らの演技がドロドロした人間模様をより深く引き立てています。各キャラクターの個性が活かされ、特に松本の苦悩は観客に深い印象を残します。

制作スタッフ

監督の福田純によって描かれるドラマは、多くの優れたスタッフたちによって支えられています。脚本に池田一朗、撮影に宇野晋作が参加し、音楽は別宮貞雄によるものです。映画の美術や照明も高いレベルで仕上げられており、観客は香港の魅力を存分に味わうことができます。

この作品は、1960年代の日本と台湾の文化を融合させた、多面的で感情豊かなストーリーを提供しており、今もなお多くの映画ファンに愛され続けています。

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