香港活動家尖閣諸島上陸事件
香港活動家尖閣諸島上陸事件
2012年8月15日に発生した香港活動家による尖閣諸島への上陸事件は、日本と中華圏との間の緊張を一層高めた重要な出来事です。この事件は、主に中華人民共和国香港特別行政区に拠点を置く「保釣行動委員会」のメンバーが関与しており、尖閣諸島に対する領有権を主張するために行動を起こしました。
事件の概要
この上陸事件は、同日午後5時29分に起こりました。香港、マカオ、及び中国本土からの活動家たちが抗議船で日本の領海に侵入し、魚釣島に上陸したのです。海上保安庁はこの行動を事前に把握しており、上陸した活動家の数は7人でした。日本の警察と海上保安庁は素早く反応し、午後5時54分に上陸を果たした活動家5人を逮捕しました。続いて、抗議船に乗っていた他の活動家も含め、合計14人が不法入国で現行犯逮捕されました。これは、2004年以降初めての外国人による尖閣諸島への不法上陸事件でした。
逮捕された14人は海上保安庁の巡視船で那覇港に移送された後、各警察署で取り調べを受けました。その後、強制送還手続きが進められ、彼らは17日には香港に帰されました。活動家たちは上陸の際、海上保安庁の巡視船に対して煉瓦やコンクリート片を投げつけるなど積極的な抗議行動を行いましたが、この点での起訴はされていません。
この事件に先立ち、台湾の「中華保釣協会」も活動に参加する予定でしたが、悪天候や漁船のオーナーからの許可が得られなかったため、香港の活動家との合流を断念しました。台湾の海岸警察は事件への関与を否定しているものの、事実上の阻止が関与したとされ、香港の活動家に対しては救援物資を提供するなどの支援を行っていました。
日本政府の対応
事件を受けて、当時の内閣総理大臣である野田佳彦は、「法令にのっとり厳正に対処する」と発言しました。また、内閣官房長官の藤村修は、「尖閣諸島がわが国固有の領土である」と確認し、日本の立場を強調しました。外務省事務次官は中国大使に抗議を行い、日本政府は事前に強硬策を取らない方針を決定していました。
この移送過程では、元々は器物損壊罪や公務執行妨害罪の適用も検討されましたが、迅速な強制送還が選択されました。これは、2010年の尖閣諸島中国漁船衝突事件の影響を考慮したリスク回避の戦略だったと推測されます。
上陸した活動家たち
上陸した主な活動家には以下の人物がいます：
これらの活動家が関与した「保釣行動委員会」は、尖閣諸島の領有権を主張する活動を行っています。この事件を受けて、中華圏内では反日感情が高まり、同年内に大規模な抗議運動が発生しました。また、この上陸の4日後には日本側の活動家らが同じく魚釣島に上陸する事件も発生し、双方の緊張を一層強める結果となりました。
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