香西成資

香西成資（こうざい しげすけ）は、寛永9年（1632年）に生まれ、享保6年（1721年）に90歳で没した江戸時代前期から中期にかけての兵法家であり、歴史家としても名を残しました。彼は甲州流軍学を深く学び、筑前黒田家に仕え、その知識と武術をもって貢献しました。

讃岐国香川郡佐料邑（現在の香川県高松市鬼無町佐料）で植松吉兵衛時陰（時信）の子として生を受けた香西成資は、幼名を太郎八といい、後に藤助と名乗りました。成長してからは武兵衛（または庄左衛門）興資と称し、筑前福岡に移住後、祖先である豪族・香西元綱の家名を再興し、香西庄兵衛成資と名乗るようになりました。父の墓は現在も香川県高松市鬼無町佐料に存在しています。

慶安2年（1649年）より、香西成資は兵学者である小早川能久に師事し、さらに江戸に上って能久の師である小幡景憲に甲州流軍学を学びました。万治2年（1659年）には28歳で免許皆伝を得て一時讃岐に帰郷し、寛文年中に32歳で筑前へ移住しました。

天和2年（1682年）からは、筑前黒田家に兵法指南として仕え、福岡城南の平尾山下に広大な土地（7200坪、約23,760平方メートル）を与えられました。そこに演武堂と兵祖廟を建設し、多くの門下生を指導しました。後に、子の香西資始が隣接地8600坪を得て、全体を「軍神山」と位置づけました。官職を辞した後、香西成資は本立軒常山と号しました。

香西成資は、数多くの著書を残しており、甲州流軍学に関するものとしては『甲越戦争記』『甲源武鑑単騎』『武田兵術文稿』などがあります。また、2人の師から学んだことを振り返った『小幡小早川両師伝』（享保2年〈1717年〉）や、出身地である讃岐を含む四国（南海道）の中世史を記した『南海治乱記』(寛文3年〈1663年〉)、『南海通記』(享保3年〈1718年〉)などがあります。

享保6年（1721年）、香西成資は福岡城南の薬院の自宅で90歳という長寿を全うしました。長崎海軍伝習所に学んだ香西少輔は、彼の子孫にあたります。

主な著書

『甲越戦争記』
『甲源武鑑単騎』
『甲源武鑑陣法』
『武田兵法全書』
『陣説精要』
『三品正傳』
『武田兵術文稿』
『兵統正傳』
『小幡小早川両師伝』
『南海治乱記』
* 『南海通記』

もう一度検索