南海通記

『南海通記』（なんかいつうき）は、江戸時代中期の享保3年（1718年）に刊行された、香西成資による四国地方（南海道）の中世史を網羅的に記述した歴史書です。

著者の香西成資は、もともと寛文3年（1663年）に『南海治乱記』という書物を著していました。『南海通記』は、この『南海治乱記』を大幅に補訂し、内容を充実させた上で改めて世に送り出したものです。そのため、『南海通記』は全21巻という大部な構成となっています。

『南海通記』の貴重な点は、著者自身が筆写した書写本が現存していることです。この書写本は、現在、香川県坂出市に位置する白峯寺に大切に保管されています。これにより、当時の記録が今日まで正確に伝えられています。

また、『南海通記』の序文は、竹田定直によって記されています。竹田定直は、藩校である修猷館（東学問稽古所）の初代総受持（館長）を務めた竹田定良の祖父にあたります。当時の知識人や文化人との繋がりも垣間見ることができます。

『南海通記』は、単なる歴史の記録に留まらず、当時の社会情勢や文化、人々の生活を知る上で貴重な資料です。特に、四国地方の中世史研究においては、欠かすことのできない重要な文献として位置づけられています。

この書を通じて、中世の四国がどのような時代であったのか、その一端に触れることができるでしょう。

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