馬思聡

馬思聡（MA Si-cong）について

馬思聡（1912年5月7日 - 1987年5月20日）は、中国広東省に生まれた作曲家でありヴァイオリニストです。彼は、音楽を通じて文化の架け橋を築くことに情熱を注ぎ、多くの名曲を生み出しました。特に、民族音楽の要素を取り入れた作品が多いことで知られています。

幼少期と留学

馬思聡は、11歳の時にフランスへ留学し、ヴァイオリンを学ぶことを決意しました。フランスでは、音楽の真髄を学ぶべく努力し、1931年にパリ音楽院に入学しました。この時期の経験は、彼の音楽スタイルに多大な影響を与え、後の作品に多くの西洋音楽の要素が見られます。

帰国と作品活動

帰国後、馬は特に創作活動に力を入れました。その結果、『揺籃曲』や『内モンゴル組曲』といった数々の名作が生まれます。これらの作品は、アジアの伝統音楽と西洋音楽の融合を試みたもので、いずれも高く評価されています。1949年に中央音楽学院の初代院長に任命され、音楽教育にも尽力しました。彼のスタイルは、しばしば詩的で感情豊かであり、多くの人々に感動を与えました。

文化大革命と亡命

しかし、1966年に始まった文化大革命の影響を受け、彼は迫害の対象となりました。1967年1月には香港に逃れ、さらにアメリカへ亡命しました。この時期、彼の家族や親族も巻き込まれ、その苦悩は計り知れません。アメリカで彼が過ごすことになった年月は、彼にとって新たな創作の場でもありました。1985年には名誉回復がなされ、彼の業績が再評価されることとなります。

最晩年と音楽の遺産

馬思聡は、1987年にフィラデルフィアにて心臓手術を受けた際、残念ながら術後の経過が芳しくなく、同年に亡くなりました。しかし、彼の音楽は今なお生き続けており、数多くの人々に影響を与えています。また、彼の作品は、ヴァイオリンとピアノのためのものから、ピアノ協奏曲、交響曲まで幅広く、多岐にわたります。

主な作品

彼の代表作としては、ヴァイオリンとピアノのための『牧歌』、バレエ『晩霞』、オペラ『熱碧亜』などが挙げられます。特に、『揺籃曲』や『春天舞曲』は、彼が旅した地域の音楽的特徴を取り入れたものとして有名です。さらに、彼が作曲した合唱曲や独唱曲も大変人気が高く、音楽祭などで頻繁に演奏されています。

馬思聡は、中国音楽の発展に寄与した偉大な人物であり、彼の遺作品は今もなお、多くの演奏者やリスナーに愛されています。彼の情熱的で創造的な音楽は、時代を越えた価値を持っていると言えるでしょう。

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