馬酔木 (雑誌)

『馬酔木』の歴史と影響

『馬酔木』（あしび）は、馬酔木発行所が発行する月刊俳句雑誌で、1918年に創刊されました。この雑誌は、当初は『破魔弓』（はまゆみ）という名前でした。創刊者の一人、佐々木綾華とその仲間たちは、帝大俳句会を中心に同人を集めましたが、1926年には水原秋桜子が改題を提案し、1928年7月号から正式に『馬酔木』に改められました。

改題にあたり、当時の同人には水原秋桜子を含む数名の著名な俳人が名を連ねていました。具体的には、増田手古奈、日野草城、佐藤眉峰、山口青邨、富安風生、大岡龍男、そして創刊者である佐々木綾華がいます。彼らは、『ホトトギス』の流れを汲みつつ、秋桜子の指導のもとで『馬酔木』を独自の俳句雑誌として成長させることに尽力しました。

2011年には、秋桜子の長男である水原春郎が主宰を引き継ぎ、その後、春郎の娘である徳田千鶴子がこの役割を受け継ぎました。これにより、『馬酔木』は代々の俳人によって支えられながら、その伝統を引き継いでいます。2007年には、ついに1000号を迎え、記念号が特別に刊行されました。

この雑誌には多くの著名な漢詩や俳人が参加しており、彼らはそれぞれの俳誌を主宰しています。富安風生の「若葉」や、山口青邨の「夏草」、相生垣瓜人の「海坂」など、数多くの俳人がこの雑誌に関わってきました。石塚友二や加藤楸邨などの名もあり、彼らの作品は今なお多くの読者に親しまれています。

また、主宰者たちの中には、日野草城や山口誓子といった、後に別の流派や俳誌で名を上げる人物も多くおり、その活動は日本の俳句界に大きな影響を与えました。

『馬酔木』は、秋桜子以降もその精神を引き継ぎ、今に至るまで新しい才能の発表の場として重要な役割を果たしています。また、俳句の表現の幅を広げるために、既存の形式にとらわれない創作を奨励する姿勢が多くの若手俳人を引き寄せています。その結果、今日でも『馬酔木』は、俳句の伝統を重んじつつも、新しい風を取り入れることで、現代的な感覚を持ち合わせた雑誌であり続けています。読者にとっては時間を超えた俳句の世界に触れる貴重な機会を提供してくれる存在であり、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。

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