駄目押し

駄目押し（だめおし）

駄目押しとは、元々は囲碁用語で、終局後、どちらの陣地にもならない領域（ダメ）を埋め、地を明確にするために石を置く行為を指します。この意味から派生し、既に勝負が決まっている状況で、さらに念を入れて勝負を確実にする行為全般を「駄目押し」と呼ぶようになりました。

スポーツにおける駄目押し

野球やサッカーなどの試合においては、勝敗の大勢が既に決まっている状況で追加点を奪うことを「駄目押し」と表現します。例えば、「駄目押しのホームラン」「駄目押しのゴール」といった言い方をします。これらの追加点は、相手をさらに突き放し、勝利を決定的なものとするため、一般的にポジティブに評価されます。

大相撲における駄目押し

一方、大相撲の取組においては、相手が土俵を割ったり、手をついたりするなどして勝負が決まっているにもかかわらず、さらに相手を押し倒す行為を「駄目押し」と呼びます。大相撲においては、この行為は無用な行為とみなされ、相手に怪我を負わせる危険性があるため、非難の対象となります。特に、力を抜いている相手に駄目押しをすると、相手が予想以上に吹き飛ぶことがあり、土俵下の観客や審判にとっても危険な行為となります。

朝青龍と白鵬の事例

2008年5月場所千秋楽の結びの一番で、東横綱・朝青龍が西横綱・白鵬を引き落としで下した後、既に土俵に倒れていた白鵬を強く突くという行為がありました。この駄目押しに対し、白鵬は怒り、立ち上がりながら朝青龍にぶつかり、両者は土俵上で睨み合う事態となりました。

この件に関して、当初、北の湖理事長は朝青龍の行為を「流れの中の行為」として駄目押しとは認めず、白鵬の態度を問題視しました。しかし、横綱審議委員会は「土俵上での横綱同士の睨み合いは喧嘩両成敗である」と進言し、後に日本相撲協会は朝青龍と白鵬の両横綱に厳重注意処分を科しました。

古代相撲における駄目押し

興味深いことに、古代の相撲においては、駄目押しは必ずしも好ましくない行為とはされていませんでした。『日本書紀』には、野見宿禰と当麻蹴速の試合において、宿禰が倒れた蹴速に踏みつけの追撃を行い、蹴速を殺害したという記録が残っています。宿禰が勝利によって所領を得て、天皇に仕えることになったという記述から、少なくとも『日本書紀』が書かれた時代には、駄目押しは非難の対象ではなかったと考えられます。

関連項目

囲碁
野球
サッカー
大相撲

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