駅使

駅使（えきし）とは

駅使とは、古代日本における公的な使者で、主に情報伝達を目的として駅馬を利用することが許された存在を指します。律令制下において設けられた駅路を通じ、国から国へ、また官庁から官庁へと命令や報告を迅速に行う重要な役割を果たしていました。

役割とシンボル

駅使は、官庁からの命令を伝達するため公的に任命された使者です。その象徴として駅鈴を携えており、駅家と呼ばれる宿舎で駅鈴を示すことで、駅馬を提供される権利を得ることができました。緊急の任務を抱えている駅使は「飛駅使」とも呼ばれ、特に早急な情報の伝達を求められました。

旅路と手続き

駅使が情報を運ぶ際には、駅路に沿って30里（約12キロメートル）ごとに設置された駅家で馬を乗り換えながら旅をしました。一方で、一般の使者は途中で乗り物を変更することは稀でした。急行の使者は1日で10駅以上、通常は8駅以上の距離を移動することが求められ、3駅ごとに食事や宿泊の手配がされるシステムになっていました。

支給される食料は限られており、駅使には1日に稲3～4把と酒8合から1升が与えられ、従者には稲3把が支給される程度でした。駅使の旅は現地の国司が監督していたため、通過する駅使には配慮がなされていたと考えられています。

認められた駅使

駅使として認められるのは、神祇官の奉幣使や宮内省の御贄使、太政官の許可を得た臨時使者などが含まれました。また、特に急を要する場合には飛駅使、馳駅使が派遣されました。後には正税帳使や大帳使も駅使に認定されるようになりました。

特に中央から派遣される駅使は、駅鈴の支給を受ける際に天皇からの晴れの手続きが必要でした。駅鈴の数は使者の位に応じて変わり、その数だけの馬が支給されました。駅使の多くは中下級の官人で、時には数名の従者を連れて赴任先へ向かいました。

体力と技術

駅使は途中で馬を替えますが、基本的には同じ使者が目的地まで向かうのが一般的です。このため、特に飛駅使に選ばれる者には優れた体力と馬術が求められました。売られていく課題として、早急な対応が必要な場面でも迅速に行動できる能力が重視されていたのです。

このように、駅使は古代日本の官庁の命令を地方に伝え、さらに各地からの報告を中央政府へ届けるという重要な役割を担っていました。

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