駿河街道

駿河街道の概要

駿河街道（するがかいどう）は、愛知県名古屋市の名古屋城下伝馬町札の辻を起点に、昭和区川名や天白区平針を通り、岡崎市宇頭町で東海道に接続する重要な街道です。地域によって「岡崎街道」や「平針街道」、「なごや道」といった異なる呼称が使われています。この道は、江戸時代に徳川家康が名古屋と駿河を結ぶために開かれた歴史的な道であり、その呼称が記された文献も数多く残されています。

現在の状態

現在では、愛知県道56号名古屋岡崎線がこの街道の一部を引き継いでいますが、時代の変遷に伴う様々な痕跡が見られます。伝馬町札の辻から東へ進むと、久屋大通を越えた後、南東へ斜めに延びる道は、過去の多数の道路計画を経ても今なお地図に確認できる形で残っています。

吹上付近はほぼ愛知県道56号名古屋岡崎線と重なり、地下鉄の川名駅からいりなか駅へは一筋北側の道を取ります。一方、八事駅では南側の道に分かれ、平針西口交差点から旧道を通りながら平針の宿場を経由し、平針三丁目を超えると秋葉山の山すそに沿って進むことで、再び愛知県道56号名古屋岡崎線に合流します。このように、駿河街道は現在の交通網にも大きな影響を及ぼしています。

江戸時代の歴史

江戸時代には、駿河街道は重要な交通路の一つとして位置づけられており、街道絵図や国絵図にも描かれました。この頃、尾張から駿河への道は「駿河街道」として、その逆に名古屋へ向かう道は「なごや道」として広く知られていました。この時期の文献からは、他の名称で表記された街道名は見当たりません。様々な文献を通じて、駿河街道の重要性が強調されています。

歴史的出来事の年表

• - 慶長12年（1607年）：徳川家康が駿河に隠居
• - 慶長14年（1609年）：家康、尾張清洲城に来て名古屋城の築城を命じる
• - 慶長15年（1610年）：家康が縄張りを仰せ付ける
• - 慶長17年（1612年）：家康が平針村に宿場を設け、伝馬役を命じる
• - 慶長19年（1614年）：名古屋城が完成する
• - 慶長20年（1615年）：名古屋城で休泊後、大坂へ向かう

近代以降の変遷

明治以降も駿河街道は重要な道路としての役割を果たしました。1885年には道路法により、名古屋から天白村（平針）の区間が「県道飯田街道」の一部に、さらに東方は「県道新街道」となりました。1920年にはこの区間が「県道名古屋飯田線」として記載され、1953年には名古屋〜平針間が「二級国道名古屋塩尻線」の一部に昇格、1965年からは「一般国道153号線」に移行しました。

宿場と御茶屋

江戸時代の初期には、家康が名古屋城下への移動にあたって駿河街道を利用していたと見られています。この道には平針に宿場が存在しており、堤町には御茶屋御殿跡や権現社故地があり、当時の名残を今に伝えています。

一里塚

駿河街道には一里塚が設けられ、慶長17年に江戸幕府の命令でその構造が確立されました。名古屋市中区にある円教寺には「旅人のこころ涼し一里塚」の碑が立てられています。八事地区の北塚と南塚も一時存在していましたが、現在はその形跡は残っていません。

通過する自治体

駿河街道は愛知県内で多くの自治体を通過します。名古屋市の東区から中区、千種区、昭和区、天白区、緑区を経て、日進市、愛知郡東郷町、みよし市、豊田市、安城市、最終的に岡崎市に至るまでの広範なエリアをカバーしています。

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