久屋大通

久屋大通：名古屋のシンボルロード

久屋大通（ひさやおおどおり）は、愛知県名古屋市の中心部、栄地区を南北に貫く大通りです。その最大の特徴は、中央分離帯の公園を含めた幅員が約100メートルにも及ぶ、日本有数の広さを誇る道路であることです。この広大な道路空間は、単なる交通路としての役割だけでなく、名古屋市民の生活、文化、経済活動を支える重要な拠点となっています。

概要

久屋大通は、名古屋市道として「名古屋市道久屋大通」という正式名称を持ち、全長1738メートル、平均幅員は112.17メートルにもなります。道路の中央部には、長さ1381メートル、平均幅78メートルの「久屋大通公園」が設けられ、都市公園としても機能しています。この公園は、かつては緑豊かな空間として市民に親しまれていましたが、2020年の再開発によってその姿を変えました。道路は、公園を挟んで東西に分かれており、それぞれ一方通行となっています。

南行：久屋橋（外堀通）交差点から若宮大通久屋交差点
北行：若宮大通久屋交差点から久屋橋（外堀通）西交差点

「久屋」という地名は、尾張藩初代藩主である徳川義直が、街の繁栄を願って「久屋町」と名付けたことに由来します。「久屋大通」という名称は、もともと道路の通称として使われていましたが、1984年に名古屋市が道路の愛称を公募した際、正式な愛称として採用されました。また、この通りは、パリのシャンゼリゼ通りと友好提携を結んでおり、道路に面した専門店や飲食店、緑地公園など、多くの共通点を持っています。1986年には「日本の道100選」にも選ばれ、1994年には「新・日本街路樹100景」にも選定されるなど、その歴史的、文化的価値は高く評価されています。

特徴

久屋大通は、その幅員において、他の大通りや公園を凌ぎ、日本一の広さを誇ります。また、景観が札幌の大通公園に似ていると言われることがありますが、久屋大通は南北に、大通公園は東西に伸びている点が異なります。道路としての機能だけでなく、名古屋市の経済、社会、文化活動を支える重要な役割を担っており、鉄道やバスなどの公共交通インフラと連携して、都心部と生活地域を結ぶ重要な拠点となっています。

地下には、名古屋市営地下鉄名城線と名鉄瀬戸線が通っており、これらの路線が利用できる駅が複数設置されています。また、地下商店街や駐車場も整備されており、名古屋駅前地下商店街と並び、市内有数の人通りが多い場所となっています。

沿道には、名古屋テレビ塔をはじめとするランドマーク的な施設や、多くの商業施設が建ち並んでいます。かつて中央緑地帯には、姉妹友好都市からの贈り物や記念碑、文学碑などが設置されていましたが、再開発によって姿を消しました。しかし、現在もイベント開催地として、年間200件以上の祭りや文化イベントが開催され、多くの人々で賑わっています。

歴史

久屋大通は、太平洋戦争（大東亜戦争）で焼け野原となった名古屋市中心部の復興計画の一環として、防災を主な目的として整備されました。幅100メートルの道路を建設することで、火災の延焼を防ぎ、市民の避難場所を確保するという目的がありました。当初は、市民からの反対や、他都市からの批判もありましたが、防災上の重要性が認められ、建設が進められました。1963年に完成し、その後、1989年にはパリのシャンゼリゼ通りと姉妹提携を結びました。

年表

1964年：復興土地区画整理事業に伴い、道路法に基づく道路として認定。
1970年：中央緑地帯が都市公園区域に指定。
1986年：「日本の道100選」に選定。
1989年：久屋大通発展会とパリのシャンゼリゼ委員会が姉妹提携。

交差する道路

外堀通
桜通
錦通
広小路通
若宮大通
前津通

沿線の主な施設

NHK名古屋放送局
栄バスターミナル
久屋大通公園
名古屋テレビ塔
オアシス21
中日ビル
松坂屋名古屋店
ハンズ名古屋松坂屋店
名古屋三越栄店
ラシック
名古屋パルコ

沿線の駅

名古屋市営地下鉄
久屋大通駅（名城線・桜通線）
栄駅（名城線・東山線）
矢場町駅（名城線）
名古屋鉄道
* 栄町駅（瀬戸線）

久屋大通は、名古屋の歴史と文化、そして現代の都市機能を象徴する、まさにシンボルロードと言えるでしょう。

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