騎士党

騎士党：チャールズ1世に忠誠を誓った者たち

17世紀イングランドを舞台に繰り広げられた清教徒革命、いわゆるイングランド内戦（1642年～1651年）。この激動の時代において、国王チャールズ1世、そしてその後を継いだチャールズ2世に忠誠を誓い、支持した人々を「騎士党（キャヴァリアー）」と呼ぶ。この呼称は、彼らと対立した議会派（円頂党）によって用いられ、当初は侮蔑的なニュアンスを含んでいた。

語源と意味

「キャヴァリアー (Cavalier)」という語は、俗ラテン語の「caballarius」（騎士）に由来する。シェイクスピアの作品にも登場し、「威張り散らす洒落者」といった意味合いで使われていたことが知られている。イングランド内戦においては、国王支持者を指す言葉として定着し、やがて王党派自身もこの呼称を受け入れるようになった。

服装と外見

騎士党員は、当時のロンドン宮廷で流行した華やかな服装を特徴としていた。明るい色の服、レースの装飾、羽根飾りの帽子などが彼らの装いを彩り、議会派の簡素な服装とは対照的であった。ただし、この服装と政治的立場は必ずしも一致せず、議会派支持者の中にも華美な服装をする者や、王党派支持者の中でも質素な服装を好む者はいた。

人物像と信仰

騎士党員は、貴族やジェントルマンの子息が多く、国王への深い忠誠心から行動したとされる。彼らは、必ずしも厳格な清教徒ではなかったものの、信仰心を生活の柱としていた者も多くいた。中には、戦いの最中にも祈りを捧げるなど、信仰心に篤い者もいた。一方で、大酒飲みで軽薄、不道徳な者も少なくなかった。第2代ロチェスター伯爵ジョン・ウィルモットなどは、その代表例と言えるだろう。

騎士党と円頂党

騎士党の対極にあるのが議会派、いわゆる「円頂党（ラウンドヘッド）」である。円頂党員は、質素な服装と短髪を特徴とし、宗教的にはより厳格な傾向が見られた。彼らは、国王の専制政治に反対し、議会による統治を主張した。騎士党と円頂党は、服装や宗教観だけでなく、政治理念においても対照的な存在であった。

王政復古期以降

王政復古後も、「騎士党」という呼称はしばらく使われ続けた。しかし、17世紀後半には「トーリー」という語が王党派を指す言葉として定着し、「騎士党」は次第にその役割を終えていく。これは、議会派を指す言葉が「円頂党」から「ホイッグ」へと変化したのと同様の過程である。

結論

「騎士党」は、単なる政治的勢力ではなく、特有の服装、人物像、そして信仰観を持つ多様な集団であった。彼らは国王チャールズ1世への忠誠心から行動し、イングランド内戦において重要な役割を果たした。その歴史的意義は、現代においてもなお、研究・考察に値するものである。

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