円頂党

円頂党：イングランド内戦を彩った議会派の興亡

イングランド内戦（清教徒革命）において、議会を支持した勢力を指すのが「円頂党」です。彼らは絶対王政を敷こうとするチャールズ1世とその支持者である「王党派（騎士党）」と激しく対立しました。円頂党の究極目標は、議会による行政の完全支配でした。

円頂党の構成とイデオロギー

円頂党は、主にピューリタンや長老派から成り立っていましたが、独立派、平等派など、様々な政治的グループも含まれていました。大半の円頂党員は立憲君主制を望んでいましたが、内戦終結間際にはクロムウェル率いる共和派が台頭し、王制廃止、イングランド共和国の樹立へと繋がります。フェアファクス卿やマンチェスター伯爵など、円頂党指導層の多くは最後まで立憲君主制を支持し続けました。

「円頂党」という呼称の由来

「円頂党」という呼び名は、当時議会派の一部が短く刈り上げた髪型に由来します。これは、王党派の華美な長髪とは対照的で、軽蔑的な意味合いを含んでいました。ニューモデル軍では、仲間を「丸刈り頭」と呼ぶことは罰せられる一方、王党派を指す「騎士党」は、彼ら自身も受け入れる呼称となっていました。皮肉なことに、国教会の聖職者が短髪を命じられたことで、ピューリタンの一部は反抗の意思表示として髪を伸ばしたものの、「円頂党」と呼ばれ続けたという経緯もあります。

「円頂党」呼称の起源と変遷

「円頂党」という言葉が侮蔑語として初めて用いられたのは、1641年末のウェストミンスターでの暴動でした。当局者の記録によると、暴動参加者の多くが短髪であったことから「丸刈り頭」と呼ばれたとされています。また、クロムウェルの秘書官ラッシュワースは、士官が暴動鎮圧の際に「主教に向かって吠え回る丸刈り頭のイヌどもの喉をかっ切れ」と叫んだのが最初だと記しています。一方、ピューリタンの論客バクスターは、王妃ヘンリエッタ・マリアが、ストラフォード伯の裁判の際にジョン・ピムを指して「あの丸刈り頭の男は誰だ」と尋ねたのが始まりだと主張しています。

興味深いのは、王党派自身もこの呼称を初めは嫌悪していたのに対し、議会派は「円頂党」と呼ばれることを忌み嫌っていた点です。王党派は後に「トーリー」と呼称を変えましたが、円頂党もまた、王位排除法案をめぐる政治危機の最中に「ホイッグ」という呼称に取って代わられました。

円頂党の終焉と歴史的意義

円頂党は、17世紀半ばのイングランドを舞台に、王権と議会、絶対主義と立憲主義の対立を象徴する存在でした。彼らの活動は、イギリスの政治体制に大きな影響を与え、近代民主主義の礎を築く上で重要な役割を果たしました。しかし、内戦終結後、共和派が主導権を握り、円頂党そのものは勢力を失い、歴史の舞台から姿を消していきます。彼らの理想や闘争は、後の政治思想や運動に多大な影響を与え続けることになります。

まとめ

円頂党は、イングランド内戦における主要勢力の一つとして、その政治的目標、構成、そして呼称の由来など、多くの謎に包まれた存在でした。本稿では、史料に基づいて可能な限り詳細な情報を提供しましたが、歴史という複雑な事象を完全に解明することは不可能です。しかしながら、この時代の人々の思想や行動を理解することは、現代社会を理解する上で貴重な教訓となるでしょう。彼らの功績と失敗から学ぶことで、より良い未来を築くことが出来るかもしれません。

もう一度検索