骨寺村荘園遺跡

骨寺村荘園遺跡

骨寺村荘園遺跡は、岩手県一関市厳美町本寺地区に位置する、中世の荘園の姿を今に伝える貴重な遺跡です。この遺跡は、中尊寺に伝わる2枚の重要な中世荘園絵図に描かれた村落景観が、現代までそのまま残っていることで知られています。2005年には国の史跡に指定され、さらに、この史跡を含む地域は、その伝統的な村落景観が評価され、2006年に「一関本寺の農村景観」として重要文化的景観にも選定されました。

概要

骨寺村は、平泉の西方約15キロメートル、磐井川沿いの小さな盆地に位置していました。ここは中尊寺経蔵の別当の所領であった荘園です。特に注目されるのは、『陸奥国骨寺村絵図』に残る「骨寺村在家絵図」と「骨寺村差図」です。これらの絵図には、鎌倉時代の村の様子が詳細に描かれており、その景観が現在も残っている点が非常に重要です。

中世の村落景観を具体的に描いた絵図と文書は、中尊寺に大切に伝えられてきました。絵図に描かれた寺院、神社、岩屋などの施設も、今日までその姿を伝えています。この遺跡は、中世奥羽地方の村の様子を知る上で、数少ない重要な考古学的資料であり、中尊寺を支えた荘園の実態を理解する上でも、学術的に非常に価値が高いとされています。

さらに、大規模な開発が行われなかったため、周囲の地形や環境、景観が良好に保存されており、絵図の世界を実際に体験できるという稀有な特徴を持っています。このため、2005年3月2日には、山王窟、不動窟、白山社、駒形根神社、伝ミタケ堂跡、若神子社、慈恵塚、大師堂、梅木田遺跡、遠西遺跡、要害館跡といった、荘園を構成する重要な場所が、国の史跡として指定され、保護されることになりました。現在では、一関市が中心となって、遺跡の保存と活用に向けた様々な取り組みが行われています。

世界遺産登録への道のり

骨寺村荘園遺跡は、2001年に世界遺産登録の前段階となる暫定リストに、「平泉-浄土思想を基調とする文化的景観」の一部として登録されました。しかし、2008年の第32回世界遺産委員会での審議では、登録が一旦見送られることになりました。その後、文化庁と岩手県は、2009年に骨寺村荘園遺跡を含む4つの資産を除外し、2010年にユネスコに再度申請を行いました。その結果、2011年5月に国際記念物遺跡会議が登録を勧告し、同年6月に「平泉―仏国土（浄土）を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」として世界遺産に登録されました。

その後、2012年には、柳之御所遺跡・達谷窟（平泉町）、白鳥舘遺跡・長者ヶ原廃寺跡（奥州市）と共に、再び暫定リストに記載されています。

脚注

参考文献

一関市博物館 編『奥州平泉中尊寺経蔵別当領 中世荘園骨寺村』一関市博物館、2008年。NCID BA86970547。

関連項目

陸奥国骨寺村絵図
日本の荘園の一覧
北海道・東北地方の史跡一覧
重要文化的景観
日根荘遺跡 - 慈眼院
新田荘遺跡
田染荘
奥州藤原氏
吉田敏弘
一関市博物館

外部リンク

骨寺村荘園遺跡
* 骨寺村荘園交流館

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