一関本寺の農村景観

一関本寺の農村景観

概要

一関本寺の農村景観は、岩手県一関市厳美町の磐井川流域に広がる本寺地域に位置する集落です。2006年（平成18年）に、その文化的価値が認められ、重要文化的景観として選定されました。この地域は、『吾妻鏡』や『陸奥国骨寺村絵図』にも描かれているように、平泉の中尊寺経蔵別当領であった骨寺村荘園遺跡の一部であり、当時の景観が良好に保存されています。

岩手県南地方特有の寒冷な気候や盆地地形といった自然的条件に適応しながら、奥州藤原氏の時代から稲作を中心とした農業が継続的に行われてきました。その結果、独特の農村文化景観が形成されました。農耕地や里山の生態系は多様性を保ち、居住地の周辺には、小さく不揃いな水田や用水路が残っており、自然環境と調和した伝統的な農村の姿を今に伝えています。

また、冬の北西からの季節風（やませ）を防ぐために、各農家がイグネと呼ばれる屋敷林を設けていることも、この景観の大きな特徴です。イグネは、防風の役割だけでなく、生活空間の一部としても機能しており、この地域の独特な景観を形成する上で重要な要素となっています。

世界遺産登録に向けた取り組み

2001年（平成13年）、一関本寺の農村景観は、世界遺産登録の前提となる暫定リストに、「平泉-浄土思想を基調とする文化的景観」の一部（骨寺村荘園遺跡）として記載されました。2008年（平成20年）の第32回世界遺産委員会では登録延期となりましたが、その後、文化庁と岩手県はユネスコへの再申請を目指し、2011年（平成23年）5月には国際記念物遺跡会議が世界遺産への登録を勧告しました。

最終的に、同年6月に「平泉―仏国土（浄土）を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」として世界遺産に登録されました。この登録には、一関本寺の農村景観は含まれませんでしたが、2012年（平成24年）には、柳之御所遺跡・達谷窟（平泉町）、白鳥舘遺跡・長者ヶ原廃寺跡（奥州市）と共に再び暫定リストに記載され、将来的な世界遺産登録への期待が寄せられています。

交通アクセス

JR一ノ関駅から車で約30分
東北自動車道 一関ICから車で約20分

脚注

関連情報
骨寺村荘園遺跡 (仮のリンク)
重要文化的景観 (仮のリンク)
生物多様性保全上重要な里地里山 (仮のリンク)
一関市博物館 (仮のリンク)

外部リンク
一関本寺の農村景観 文化遺産オンライン
一関本寺の農村景観（いちのせきほんでらののうそんけいかん）－中世の風景 未来への遺産－ 農林水産省

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