骨盤位

骨盤位（こつばんい）について

骨盤位とは、妊娠中の胎児が通常とは逆の姿勢をとっている状態、すなわち尻や足が子宮口の側を向いていることを指します。この状態は一般に「逆子」とも呼ばれます。出産の時期が近づくと、多くの胎児は頭を子宮口に向ける「頭位」に変わりますが、骨盤位の胎児は出産時に様々な問題を引き起こす可能性があります。

出産が進む際、頭の形が最も大きく、通常はそれが産道を通って最初に出てきます。しかし、骨盤位では、胎児の体の一部が外に出たまま頭が引っかかることがあり、これにより分娩が滞ることがあります。万が一、胎児がへその緒を圧迫されて酸素不足に陥ると、最悪の場合、死産や新生児に様々な障害を引き起こす原因ともなります。そのため、多くの場合、骨盤位の胎児では帝王切開が必要とされることがあります。

妊娠の早い段階では、胎児は子宮内でさまざまな体勢をとっており、一般的には妊娠が進むにしたがって頭位に落ち着くことが多いですが、妊娠7か月まではおよそ30%が骨盤位、8か月では約15%、9か月では6～7%に減少します。しかし、出産時に骨盤位を維持する胎児は、全体の3～5%程度です。

骨盤位の原因

骨盤位の出現には複数の要因が絡み合っており、確定的な原因は示されていません。以下に、主なリスク要因を挙げます。

母体側の要因

• - 子宮内のスペースが狭い場合
• - 小柄な女性に見られる狭骨盤
• - 前置胎盤の存在
• - 子宮筋腫の影響
• - 子宮の形状異常（双角子宮など）
• - 羊水の量が異常に多いまたは少ない場合

胎児側の要因

• - 水頭症など、胎児の頭が大きすぎる場合
• - 多胎妊娠
• - 未熟児での過剰な動き
• - へその緒の問題（短すぎたり長すぎたり）

骨盤位の種類

骨盤位は大きく二つに分かれ、70～80%が臀位、20～30%が膝位であり、実際に足位は1%程度です。

臀位

• - 単臀位: 背中がV字型になり、尻が下に位置しています。
• - 複臀位: 尻と脚がほぼ同じ高さにあり、同時に出産される可能性があります。

膝位

• - 両膝を曲げてしまう、または片膝だけを曲げる状態。

足位

• - 脚が伸びており、足先が子宮口を向いています。

このような状態で出産が行われる場合、経膣分娩の成功の可能性やリスクは胎児の姿勢によって変わります。

対処法

経膣分娩が可能な場合にはそのまま出産が行われることもありますが、途中で胎児が引っ掛かるなどして進行が困難になる場合は、緊急で帝王切開に移行することがあります。

逆子体操

妊娠後期に判明した場合に行われることが多く、体勢を変更して胎児の位置を修正しようと試みます。ただし、無理な動きを避けることが重要です。

外回転術

妊娠後期に骨盤位が続く場合、医師が腹部から胎児を操作して回転させることがあります。成功率は約60%とされますが、リスクを伴うため慎重に行われます。

帝王切開

分娩にリスクが伴う場合、帝王切開が選択されることが多く、特に初産婦では骨盤位が原因で帝王切開が行われる率が増しています。このように、過去と比べ医学が進歩したことで、骨盤位の妊婦に対する分娩方法は多様化しています。

鍼灸治療

鍼灸においては、足の小指への治療が逆子に効果的とされています。ツボの刺激によって胎児の位置が改善されるかもしれません。

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