骨髄検査

骨髄検査とは

骨髄検査は、血液疾患の診断や病態把握のために行われる重要な検査です。骨髄は血液細胞が作られる場所であり、その状態を知ることは血液疾患の原因や病状を理解する上で不可欠です。骨髄検査には、骨髄液を採取する「骨髄穿刺」と、骨組織を含む骨髄組織を採取する「骨髄生検」の2種類があります。医療現場では、ドイツ語の「Knochenmark（クノッヘンマルク：骨髄）」に由来する略語「マルク」と呼ばれることもあります。

骨髄検査の対象

骨髄には、造血機能を持つ赤色骨髄と、造血機能を持たない黄色骨髄があります。骨髄検査の対象となるのは、血液細胞の状態を詳しく調べる必要があるため、主に赤色骨髄です。赤色骨髄は、幼児期には全身の骨に存在しますが、加齢とともに四肢の骨では黄色骨髄に置き換わります。成人では、体幹部の骨に赤色骨髄が集中しており、検査では腸骨や胸骨から採取されることが一般的です。胸骨は採取しやすいものの、心臓に近いというリスクがあります。骨髄生検を同時に行う場合は、腸骨が選ばれることが多いです。小児の場合は、脛骨から採取されることもあります。

骨髄穿刺

骨髄穿刺は、骨髄液（骨髄血）を採取し、骨髄塗抹標本を作成して細胞の形態を観察する検査です。必要に応じて、細胞免疫学的マーカーや遺伝子検査も行われます。

骨髄穿刺の方法

通常、医師と検査技師のペアで行われます。まず、穿刺部位を消毒し、局所麻酔を行います。その後、骨髄穿刺針を骨表面に垂直に立て、回転させながら骨髄内に進めます。骨髄穿刺針は二重構造になっており、内針を抜いた後、外筒にシリンジを接続して骨髄液を吸引します。採取後は、穿刺部位を圧迫して止血します。

骨髄生検

骨髄生検は、骨髄穿刺で採取される骨髄液だけでは得られない、骨髄の組織構造や細胞密度を詳細に観察するための検査です。骨髄組織を採取するため、骨髄の細胞密度や病理組織学的検査がより正確に行えます。主に腸骨から採取します。

骨髄生検の方法

骨髄生検針も二重構造で、先端が骨皮質に達するまでは骨髄穿刺と同様の手順で行います。骨皮質を貫通後、内針を抜き、外筒を進めて骨髄組織片を収めます。その後、針を動かして骨髄組織を切断し、外筒ごと引き抜きます。

ドライタップ (dry tap)

骨髄穿刺時に、骨髄液が吸引できない状態をドライタップといいます。これは、骨髄の線維化など骨髄の異常が原因であることが多いです。

まとめ

骨髄検査は、血液疾患の診断や治療方針を決定するために不可欠な検査です。骨髄穿刺と骨髄生検は、それぞれ異なる目的と方法で実施され、血液細胞や骨髄組織の状態を詳細に把握することができます。これらの検査により、血液疾患の早期発見や適切な治療につながることが期待されます。

参考資料

浅野茂隆、内山卓、池田康夫監修　『三輪血液病学』第3版、文光堂、2006年、ISBN 4-8306-1419-6

関連項目

血液学
医学
末梢血塗抹検査

外部リンク

骨髄検査 - 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト , 2023年2月28日閲覧

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