穿刺

穿刺（せんし）とは

穿刺とは、注射針などの尖った中空の器具を用いて、身体の内部にある内容物を切開せずに調べる医療行為を指します。この技術は、診断だけでなく治療目的でも広く利用されています。穿刺を行うことにより、必要な検体を採取したり、薬を直接投与したりすることが可能です。ここではさまざまなタイプの穿刺とその目的について詳しく説明します。

穿刺の種類と目的

1. 胸腔穿刺

胸腔穿刺は、胸水を採取するための手法です。胸水は、胸腔内に異常に蓄積した体液のことで、さまざまな病気に関連している可能性があります。この処置によって採取された胸水の成分を分析することで、疾患の診断が行われます。また、胸水が多量にある場合には、ドレナージを行い、肺の圧迫を軽減することによって呼吸を助けることも可能です。

2. 心嚢穿刺

心嚢穿刺は、心臓を包む心嚢から液体を採取する手法です。心タンポナーデと呼ばれる状態では、過剰な心嚢液が心臓を圧迫し、その結果心機能が損なわれてしまいます。心嚢穿刺を行うことで、液体を取り除くことができ、心臓の機能を改善することが可能です。

3. 腹腔穿刺

腹腔穿刺は、腹部にたまった腹水を採取するための手法です。腹水は、肝疾患や心不全などに伴って生じることがあります。この手法によって採取された腹水は、診断を行うための重要な情報を提供し、場合によってはドレナージが施されることもあります。

4. 腰椎穿刺

腰椎穿刺は、脳脊髄液を採取する手続きです。この液体は中枢神経系の状態を示す重要な指標となります。腰椎穿刺では、穿刺を通じて造影剤を注入し、後にレントゲン撮影やMRI検査を行うことも頻繁です。

5. 関節穿刺

関節穿刺は、関節内にある関節液を取り出したり、排出したりする手技です。特に関節に炎症が発生すると、関節液が増加し、痛みや運動制限が生じることがあります。この場合、穿刺を行って異常な液体を除去することが治療につながります。

6. 穿刺細胞診

これはさまざまな臓器で行われる診断手法で、甲状腺や乳房内にできたしこりから細胞を採取します。この手技により、がんの有無を早期に判断することが可能です。

結論

穿刺は、医療現場で非常に重要な役割を果たしており、検査と治療の両方に対応できる優れた技術です。これにより、医師は必要な情報を迅速に取得し、適切な治療法を決定することができます。その結果、患者の健康を守るための重要な手段となっています。

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