高千穂鉄道TR-400形気動車

高千穂鉄道TR-400形気動車

高千穂鉄道TR-400形気動車は、2003年に2両が製造され、高千穂鉄道のトロッコ型気動車として運用されました。2005年までの短い期間の運行ながら、そのユニークなデザインと機能性が特徴です。この気動車は廃線後に九州旅客鉄道（JR九州）に譲渡され、キハ125形400番台として新たな役割を担うこととなりました。

背景と製造

高千穂鉄道は、1989年に日本国有鉄道の高千穂線を第三セクターとして開業しました。1996年から気動車の導入が検討され、2003年にTR-400形の導入が実現しました。そのデザインは、松浦鉄道や南阿蘇鉄道のレトロ調気動車を基にし、窓を大きくすることで乗客の景観を楽しむ工夫が施されました。エンジンには新潟鐵工所製のDMF13HZディーゼルエンジンが採用され、出力は242.7 kW（330 PS）となっています。

車両の特徴

TR-400形の車体は、両運転台の貫通式設計で、車両長は約18メートルです。塗装はTR-401が黄色、TR-402が緑色で、それぞれ「手力男」と「天鈿女」という愛称を持っています。内部は通路を挟み、4人掛けのボックスシートと2人掛けの指定席が配置されており、全体的に開放的な空間が演出されています。また、車両には特産の欅の木が使われており、座席は当初木製で、後に座布団が加わる形で改良されました。

運行と運命

2003年3月から「トロッコ神楽号」として運行が始まりましたが、2005年9月に台風の影響で高千穂鉄道全線が不通となり、その後復旧することなく2008年までに全線が廃止されました。運行終了後、両車両はJR九州に譲渡され、改造を経て特急「海幸山幸」として再出発を果たします。特急としての運用は2009年10月から開始され、当時の標準としての役割を引き継いでいます。

技術的な側面

TR-400形は、新潟コンバーター製の液体変速機を採用し、ボルスタレス台車を使用したことで安定した走行が可能です。制動装置は機関・排気ブレーキを併用した自動空気ブレーキを採用しており、安全面にも配慮されています。また、空調装置も完備され、冷暖房が可能です。

まとめ

高千穂鉄道TR-400形気動車は、短い運行期間ながらも独自の魅力を持ち、多くの鉄道ファンに愛されました。廃止されたあとの再生利用の形も、鉄道車両の新たな可能性を示しています。この気動車に関する詳細な知識は、鉄道ファンにとって貴重な情報源となるでしょう。

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