高原山黒曜石原産地遺跡群

高原山黒曜石原産地遺跡群

高原山黒曜石原産地遺跡群は、栃木県に位置する高原山で見つかった旧石器時代の遺跡です。この遺跡は、火山活動によって形成された高原山の中にあり、その重要性は古代日本の人々が利用した天然資源に深く関連しています。

立地について

高原山は、栃木県北部に広がる山脈で、日光市や塩谷町、那須塩原市、矢板市にまたがっています。その最高峰である釈迦ヶ岳は1,795メートルと高く、周囲には剣ヶ峰（1,540メートル）、大入道（1,402メートル）などの山々があります。黒曜石原産地遺跡は、釈迦ヶ岳から東に位置し、標高1,440メートルの無名のピークにあります。この高い標高は、当時の北関東の森林限界を400メートルも超えた場所にあり、古代の人々にとって特別な資源の採取地点でした。

高原山周辺では、黒曜石だけでなく、旧石器時代にナイフ作成の材料として用いられた珪質頁岩を含む緑色凝灰岩も採取されていました。これにより、高原山周辺は縄文時代や旧石器時代の人々にとって重要な資源の供給地であったことが窺えます。

発掘調査の歴史

高原山の黒曜石が旧石器時代と縄文時代に広く利用されていたことは、昭和30年代から注目されてきました。当初は、高原山の北東側にある甘湯沢や、東側の桜沢、そして南側の七尋沢などで、黒曜石の礫が豊富に見られました。これにより、旧石器時代の人々がこれらの自然の資源を採取し、石器を作っていたと考えられていました。

しかし、礫の供給源に関する研究が進む中、2004年には矢板市の調査によって桜沢の支流、北沢にある白色層が礫の供給地であると推定されました。しかし、その後の調査では、礫の大きさが小さいことから、この場所は供給源として不適切であるとの意見も出ました。

2005年、登山道を整備した矢板岳友会から得た情報を元に、田村隆氏が剣ヶ峰と大入道の中間地点を探索し、多数の黒曜石の角礫や石器を発見しました。この調査から、以前に考えられていた礫の供給元は誤りであることが判明し、新たな石器の産地としての重要性が再評価されました。

さらに、2006年から矢板市教育委員会による5か年計画の発掘調査が開始されました。この現場は車両が入れないため、徒歩で長時間かかりますが、数万点の石器が発掘されるなど、成果を上げています。

高原山黒曜石原産地遺跡群は、古代の人々の生活を理解するための重要な手掛かりを提供すると同時に、栃木県における考古学研究の重要性を再確認させているのです。今後の調査によってさらに多くの歴史が明らかになることが期待されています。

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