高取藩

高取藩の歴史

高取藩（たかとりはん）は、現在の奈良県高取町を中心に存在した藩であり、その藩庁は高取城に置かれていました。この藩の歴史は、戦国時代から始まり、織田信長の支配下にあった大和国を背景に形成されました。

戦国時代、大和国は筒井順慶によって統治されていましたが、彼の死後、豊臣秀吉の覇権を受け継ぐことになります。秀吉は順慶の跡を継いだ筒井定次を伊賀上野に移封し、代わりに彼の弟、秀長に大和の地を与えました。秀長は家臣の本多利久に高取1万5000石を授け、利久は高取城の整備に尽力しました。彼の後を継いだ本多俊政は、秀長の死後、豊臣家に仕官し、関ヶ原の戦いでは東軍に属して西軍との戦いで奮戦し、多くの戦功を挙げました。この功績により、俊政は石高を2万5000石に加増され、異説として3万石とも言われています。

俊政の子、本多政武は囲碁の名手であり、慶長15年（1610年）には囲碁本因坊戦での勝利を収めます。さらに、大坂の陣でも武功を挙げ、大坂城の修築や高野山の大塔建設に関わるなど、名藩主として知られています。しかし、政武は寛永14年（1637年）に嗣子なく亡くなり、本多家は断絶しました。その後、桑山一玄や小出吉親によって城番が務められる時代が続きます。

寛永17年（1640年）には、植村家政が9000石から2万5000石に加増され新たに高取藩が立藩されました。その後、第2代藩主の植村家貞は、弟に3000石を分与し、藩の石高は2万2000石となりました。第3代藩主の家言も弟に石高を分配するなどし、藩の石高はまた2万500石に戻りました。

藩政では第5代藩主・植村家包の時代、元文3年（1738年）から幕府領の管理を任されることとなりました。この背景には、大和宇陀松山藩の混乱が影響しています。また、第8代藩主・植村家利の時代には、彼の遊女との心中事件が発覚。改易の危機に直面しましたが、江戸屋敷の留守居役が病死と偽り藩の存続を図りました。

第9代藩主・植村家長は、預かり地が6万6000石まで拡大され、所領と合わせると約10万石に達しました。藩政にも深く関わり、幕府の要職を歴任。家長の功績により藩主の石高は再び2万5000石に戻ります。第10代藩主・植村家教は尊王攘夷の考えを強く持ち、幕末の高取藩に大きな影響を与えました。

その後、植村家の男系は絶え、幕末の3代の藩主はすべて他家から迎えられた養子でした。中でも第13代藩主・植村家保は、戊辰戦争において官軍側として活躍したことで名を馳せました。高取藩は時代の変遷とともに移り変わり、最後の藩主となる植村家壺が明治2年に知藩事となり、明治4年には廃藩置県を迎えました。その後の高取は高取県を経て奈良県に統合されました。

高取藩の歴史は、外様大名による戦国の混乱と、譜代大名としての歴史深さを併せ持ち、また高取城は時代を超えてその存在感を保ち続けました。

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