高句麗五部

高句麗五部について

高句麗五部（こうくりごぶ）は、古代の高句麗において存在した5つの部族の構成を指します。高句麗は歴史的に重要な地点であり、その部族は日本へも影響を与えるなど、大きな役割を果たしてきました。高句麗五部は、歴史書である『新唐書』の「東夷伝」高麗伝に記載されており、以下の5つの部族が含まれています。

1. 内部（桂婁部、黄部とも）
2. 北部（絶奴部、後部とも）
3. 東部（順奴部、左部とも）
4. 南部（灌奴部、前部とも）
5. 西部（消奴部とも）

歴史的背景

高句麗の部族は、時代を経て各地に拡散しました。特に、彼らが日本へ渡った際には、部民制に基づく部（べ）という名称を使用し、その名を氏として名乗りました。このため、日本においても彼らの名前は様々な形で現れています。五部に関しては、それぞれの部が上部・下部・前部・後部・東部に分かれ、音訓両方の読みが確認されています。

部族の構成と移民の影響

各部族には、独自の伝承や文化が存在し、その中で日本に帰化した高麗人たちも存在しました。前部（ぜんぶ、ぜんほう）に関連する文献として、天平宝字五年の記録には「高麗人前部白君等六人が賜姓御坂連」との記載があり、高麗人の影響を示しています。

後部（こうぶ、こうほう）については、延暦八年の文献に「信濃国筑摩郡人外少初位下後部牛養」などの名前が見えます。顕著な事例として、高麗の若光という人物が「玄武若光」と呼ばえていたことがあり、これは北部に関連すると考えられています。

上部（かみべ）の記録には、天平十八年正月に「右京人上部乙麻呂」の名前が見えるほか、延暦十八年の文書にも「信濃国人上部豊人」と同様の記載があります。

下部（しもべ）においては、「信濃国人下部文代」との記録があり、これも帰化人の影響を示唆しています。「シモ」という名称は、さまざまな漢字で表記され、地名としても多く見られます。特に、大和国や河内国などでは大きな氏族が形成されていたことが示されています。

東部と西部についても同様に、弘仁二年八月には「山城国人正六位上東部黒麻呂」との記録があり、西部の背奈氏は広開土王の末裔とされています。

結論

高句麗五部は、古代の高句麗の部族構成を理解するために欠かせない存在であり、彼らの日本への移民もまた、その後の日本の文化や社会形成に大きな影響を与えました。これにより、現在の日本における帰化人の意義や部族名の持つ意味を考察する上で重要な資料となります。高句麗の歴史を知ることで、今後の研究もより深く行われることを期待しています。

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