新唐書

『新唐書』の概要

『新唐書』は、中国の唐代に関する正史であり、その編纂は北宋時代に行われました。この書物は、五代の後晋の劉昫による『旧唐書』と対比させるためにこの名が付けられました。内容は225巻に及び、1130年代に完成したこの歴史書は、主に北宋の学者である欧陽脩や曾公亮らの手によって編纂されました。

成立と構成

『新唐書』は、本紀、志、表、列伝の4つの主要な部分から構成されています。本紀では唐代の皇帝の治世を記録しており、10巻から成ります。志は知識や文化、制度についての情報を提供し、50巻にわたる内容を含みます。表は、帝系や宰相の関係性を明示し、15巻となっています。最後に列伝は、唐代の重要な人物を150巻にわたり詳述しています。

編纂の背景

『新唐書』の編纂は、唐末から五代にかけての混乱により、史料の欠如が問題となる中で行われました。『旧唐書』は特に、武宗以降の皇帝の実録が不完全であったため、新たな資料によってその不足を解消しようとする試みがありました。欧陽脩はこの歴史書において、時代の新しい史料を駆使しつつ、古文の形式で文章を記述したことが特徴です。

文体と評価

『新唐書』における欧陽脩の文体は、簡潔である一方、しばしば過剰に簡素化され、史料的な価値では『旧唐書』を下回るとされることがあります。特に、詔勅の文を古文に改编する過程で、錯誤が見受けられると指摘されています。また、「春秋の筆法」という色濃い主観性を持つ記述が批判され、客観的な歴史記録としては問題視されています。加えて、李白が酒に酔って転落し死亡する俗説が取り入れられてしまった点も評価の対象となっています。

日本に関する記述

『新唐書』における日本についての記述には、天智天皇、持統天皇に関連する内容があります。また、670年から持統天皇の時代にかけて、倭という名称が日本に変更されたことが記されています。特筆すべきは、隋の開皇年間の日本との交流についての記録で、初めて天皇家が中国と接触した出来事が書かれています。

後世の評価と影響

後の清朝の学者たち、特に考証学を重視した王鳴盛や趙翼などからは、批判の対象となりました。彼らは『新唐書』の補完的な価値を再評価し、様々な点でその信憑性に疑問を投げかけました。また、天文学の観点では、775年の宇宙線の飛来に関する記述が貴重な史料として評価されています。

結論

『新唐書』は唐代の歴史を多角的に捉え、それを後世に伝えた重要な作品の一つです。その成立の背景や編纂者の意図、文体の特徴などが多くの議論を生み出し、時代を超えた学術的関心を惹きつけています。

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